パラリンピックから学ぶ~ブラインドサッカーとビジネス英語

パラリンピック、ブラインドサッカー日仏戦で奮闘した日本人選手。

「聴覚などあらゆる感覚総動員」「体格差の逆利用」はまさに英語ハンディを抱えた一般ビジネスパーソンにも通じるところが多々あるように思いました。

 

1.声量の基準を上げる

ブラインドサッカーでは、ボールを持った相手に向かっていくとき「ボイ(スペイン語で”行く”という意味)」という声を必ず掛けるルールがあり、この声が小さすぎると反則になるため、日本チームではボイストレーナー動員で声量の確保につとめたようです。

これはまさにグローバルな場面での日本人の声の小ささ問題にも通じるところがあります。発音の問題もさることながら、そもそももぞもぞして聞き取りにくいといわれがちな日本人の英語は、声量レベルを上げるだけでだいぶ伝わりやすさは改善されます。

2.音声指示は徹底的に「具体的」

 

あいまい、抽象的な指示は試合では致命傷。徹底した「具体的指示ぶり」は、そのままビジネスコミュニケーションでも応用したいものです。ことに英語でのやりとりとなれば、なおさら「具体的な指示や説明」が肝要です。常に「その英語は相手に通じるか?」不安な日本人の場合、英語表現や文法を気にすること以上に「情報として具体的か?あいまいさが残っていないか?」という視点も重要でしょう。

3.体格の小ささを活かす

日本人チームは、圧倒的体格差をうまく使い、体躯の大きいフランス人の懐に入るような攻め方、細やかな動きで、体格の小ささを活かす動きを展開していました。また、体格が大きいと動作に時間がかかることから、小柄な日本人側は、相手よりも速い反応スピードを強く意識していたようです。とにかく予測と反応スピードで先んじて攻め続ける。

ビジネスコミュニケーションでも反応スピードは重要です。とりわけ英語リスニングに自信のない日本人は、相手に発言権を奪われ、聴く側、反応する側に回り勝ちです。可能な限りこちらから質問や提案で攻めていくことや、相手からの質問に対しても何らかの反応を速やかに見せることが求められます。

4.キャリアが長いメイン選手と若手のバランス

一般的にスポーツの世界では高い年齢は不利なイメージがありますが、今回、若い選手に交じって40代中心でキャリアの長い選手が活躍しているのが印象的でした。若い選手の身体性とベテラン選手の経験値のバランスが絶妙でした。

グローバルビジネスでも、若手とベテランの連携プレイが鍵であるように思います。

5.選手のコンディションをデータ化し、徹底準備

選手の練習時の特性、食事や睡眠などの生活上の特性、など可能な限りデータ化し、準備に余念がなかったようです。他にも主戦場となる人工芝の感触への対応、国歌斉唱までも綿密なシミュレーションで臨んだそうです。こうした「準備しすぎることはないから、可能な限り準備を徹して、少しでも不安をとる」という戦略は、英語プレゼンや英語会議に臨む際の「準備最強」に通じるものがあります。

6.空間認知力向上のためのあらゆる方略

監督やガイドは選手の背中に指で位置や空間情報を伝えたり、セットプレイのキックの際にゴールのポストなどを叩いて空間認知を喚起。実はビジネス英語においても、全てを言語だけで伝えることには限界があり、図解や写真など言語以外のアプローチで物事の位置や距離を伝える必要がある場面に遭遇することがあります。英語という言語ですべてを伝えようとしない柔軟さもビジネスコミュニケーションでは必要です。

7.一人ではなくチームで対応

チームワークは個としての力量を倍増させるのはスポーツもビジネスコミュニケーションも同じ。ブラインドサッカーでは、全選手に登場チャンスを与え、各選手の体力温存とともに、次の試合のためのフィールド感覚を持たせるように工夫していました。グローバルビジネスもこのチームワークは非常に重要で、たった一人の英語上級者に任せきるのではなく、それぞれの英語レベルでできる役割を分担したり、場の雰囲気や攻め方などを共有しておくに越したことはありません。

 

いかがでしたでしょうか?パラリンピックは「ハンディとの向き合い方」のヒント満載で、英語的ハンディを抱えた日本人がビジネス界でサバイバルしていくヒントもたくさんあります。自分自身の英語力という個人努力領域とは別に、チームとして難局を乗り越える知恵を出し合ったり、英語ハンディをカバーする知恵を出し合う。英語力ハンディをかかえたビジネスパーソンこそ、パラリンピックから色々学べそうですね。

※ブラインドサッカーでは、聴覚が最大活用されていました。ビジネス英語の世界でも、この「聞き取る力」の磨き方と、聞き取りの工夫が肝要です。英語リスニング攻略のヒントはこちらもどうぞ。