企業で求められるビジネス英語とTOEICスコアのレベル~グローバル人材育成(語学)のヒント

今回の記事は、英語力を武器にキャリアアップや転職を考えている方、またそのために必要なTOEICスコアを取得したい方にお勧めです。

最初にお伝えしておきたいのは、「TOEICスコアは高ければ高いほど常に優位とは限らない」ということです。すでに持っている実績や専門スキルが高ければ、仮にTOEICスコアがいまひとつでも、キャリアップや転職のチャンスをつかめる可能性があるということです。

こうした本業でのポテンシャルをしっかり意識しながら、英語をどこまでやればよいのか自分なりの戦略を立てていきましょう。

1. 備えるべきビジネス英語のイメージとレベル

・ビジネス英語のレベル感の把握に便利なTOEIC

将来の昇格・昇進、異動、転職などに備え、現役ビジネスパーソンは今からどれぐらいのレベルの英語を身に着けておけばよいのでしょうか?このイメージ把握上有効なのがTOEICです。その理由の一つ目として、そもそも実際にまだ仕事で英語を使っていない人がビジネス英語を独自にイメージするのは難しいため、何らかのテスト指標が必要であること。理由の二つ目として、上司からの強い推薦や報告などがない限り、企業側も社員の英語力を把握する指標としてTOEIC以外持っていないこと。理由の3つ目は、リーディングとリスニングという受信力を測定するTOEICは、ビジネス英語の潜在能力を知る上で有効であること。以上のようなことが考えられます。つまりTOEICリーディングスコアが高い人はそれに応じてメールのやりとりもできるだろうし、リスニングスコアが高い人はそれに応じてある程度は会話を成立させられることが予想できるということです。

・TOEIC600点はスタート地点のイメージ

それでは、どれくらいのラインを目指すべきなのか?これからゼロベースでビジネス英語の世界に飛び込む場合、ひとまず転職、将来の昇格・昇進の最低ラインとしてTOEIC600点をイメージしておきましょう。TOEIC600点は英検に置き換えると2級ぐらい。長文であってもざっくりと大意をつかむことや、シンプルな英文であればある程度読めるレベル。一方、細かな聞き取りや、複雑な内容の英文は自力で読むことは難しい。履歴書に書ける最低ラインのスコア。受付、窓口業務、接客系など、比較的定型表現だけでコミュニケーションがとれる職種であれば採用される可能性があります。

ところで一般的に、海外部署であれば730点、海外出張や赴任では860点あたりが求められるラインとされています。ここに対応するためにも、まず第一ゴールとしてTOEIC600点突破を狙いましょう。ただし、あくまでも「目安」として狙うのであり、595点だったらアウトというわけではありません。残念ながらビジネス英語を測定する指標が今のところTOEIC以外に普及しているものがないため、便宜上、600クリアを目指しておくとよいでしょう。

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2.就活生に必要なビジネス英語レベル

・就活生は700点以上を目指そう

就活生が700点以上を目指すべき理由はいくつかあります。一つ目は、多くの企業が、国際業務遂行に必要なビジネス英語力を700点以上と考えていること。二つ目は、実際に必要な英語力はそれよりも高い場合でも、新卒時に700点を持っていれば、後付けの努力で埋め合わせ可能と考えられること。これは400点と700点の新卒が800点を目指す際、どちらが時間的に有利か想像すればわかるでしょう。三つ目は、新卒は英語以外にやるべきことがたくさんあり、入社後の英語学習時間確保が非常に難しくなるため、なるべく学生時代に高得点を取得しておくと、本業に集中できるからです。

・TOEIC700点は「定型業務なら問題なし」のイメージ

TOEIC700点は英検2級から英検準1級に近いイメージです。長文であっても比較的細部まで聞き取れ、読解もできるため、日常的な定型業務をこなせるレベルと言えます。企業に対しても、英語力の基礎を在学中に身に着けてあるという印象を与えることができます。海外業務を狙うなら、入社後も学習を継続し、さらなるスコアップを目指しましょう。

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3.転職に必要な英語レベル

・新卒と中堅の転職は英語の意味合いが全く違う

新卒と転職には大きな違いがあります。新卒は、ポテンシャル(即戦力ではないが、時間をかけてやがて戦力になる可能性)重視、転職は即戦力重視です。英語を使って能動的にビジネスで「即戦力」として活躍するためには800点レベルが期待されます。ただこちらも業種によって違いますので、795点だから800点突破するまで転職活動は無駄だということでは決してありません。確かに百の位が7と8では印象が違いますが、専門スキルにおける優位性をアピールすれば十分戦えます。つまり専門領域経験値0でTOEICスコア850と、専門領域経験がベテランクラスで、スコアが780の場合、後者が採用される可能性も大いにあるということです。

・TOEIC800点は「攻めの英語」のイメージ

TOEIC800点は、細部まで読み聞きができて、複雑な内容も落ち着いて時間をかければ十分対応できるイメージです。外資系企業転職の際にも800点以上は履歴書に記載できます。海外赴任では860点が課されている企業もありますが、やはりこちらも、855点だから外資転職をあきらめるのではなく、英語学習も並行して、近いうちに基準をクリアする姿勢で臨めばよいでしょう。企業内プロジェクトであれ転職であれ、「英語を完成させてから申し出る」のではなく、多少不完全でも見切り発車していくことが肝要です。

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4.企業は英会話力をどれくらい期待しているか?

実は企業は、TOEICスコアを重視する一方で、英会話力はそほど注視していません。一つ目の理由は、そもそも英会話力を図る指標がないこと。二つ目の理由は、実際に英語を使って仕事をしている諸先輩各位は、中学レベルの英語でも何とかやっていることから、後付けでも追いつくものとされていること、三つ目は、話すことは比較的短期間で賄える一方、受信力であるリーディングとリスニングの習得には時間がかかるため、TOEICで社員に長期的学習を促す必要があるからです。

・企業が最低限期待している英会話力とは?

企業が社員に期待するのは、本業領域でのプレゼン、プレゼン後の質疑応答、日常オフィス業務でのやり取りに耐えうる英会話力です。これはTOEICで会話に必要なリスニング力を鍛えた後からでも割と間に合います。一方、会食時の雑談はビジネス談義以上に難しいと言われていますが、これは英語力というよりもソーシャルスキルの部類に属するものですから、「会食時の雑談力」はあくまでも個人的努力目標に留まることがほとんどで、業務評価にはあまりカウントされません。夕食時にジョークで盛り上がっている中、一人だけ笑えなかったからといって気に病むことはないということです。

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・「TOEIC満点でも話せない」という一般論

「TOEIC満点でも話せない人は多い」という一般論はほとんど無視してよいでしょう。そもそも重要な発言はある程度準備して臨むものですし、昨今メールやSNSなどライティングコミュニケーションがかなり幅を利かせていることなどから、スピーキングは後付けで賄えると考える企業は多いです。TOEIC高得点者は「話す方はどうなの?」という目線で見られがちですが、ここはむしろ堂々と「ある程度聞き取ることはできますが、話す方は中学英語レベルで何とかやっています」ぐらいに答えておきましょう。

多忙な中での英語戦略なのだから、やることは限定的に

TOEICも高得点、英会話もばっちり、語彙力も英検1級並み…こういう人がいたら、ビジネスではなく、通訳・翻訳・英語教育業界に転職した方がよいかもしれません。ビジネス界でのキャリアアップを目的とする限り、あまり欲張らず、TOEICをベースとしたリーディング・リスニングトレーニングに特化しましょう。それで10点でも20点でもスコアアップしたら、ビジネスパーソンの英語学習としては大成功と言えます。

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5.求められる英語力レベルに業種別の違いはあるか?

・業種別TOEICスコア一覧

通信大手一般 730点、大手小売業一般600点、不動産大手一般800点、証券大手海外要員860点、自動車大手事務700点、

大手電機営業700点 メーカー大手一般700点。

このスコアは、転職の際の参考ラインであり、現行社員が目指すラインでもあります。東証一部上場企業を中心に法人向け講座を長年担当してきた著者として思うのは、これらはあくまでも指標であり、全社員がこのスコアを所有しているわけでもなければ、このスコアが転職の決定打になるわけでもない、ということです。

・企業のTOEICスコア運用は多様

つまりこれらのスコアをどのような形で運用しているのかは企業によって全く違うのです。法人でよく見られたのが、TOEICの規定スコアを取得してはじめて昇格テストの受験資格が得られるというものでした。皆さん完全に昇格のためと割り切ってTOEICスコアアップに励んでいました。あるいはシステムよりも現場の事情優先ということで、規定スコア未達者を海外に派遣し、後付けで勉強させて規定スコアを取得させたケースもありました。つまり、業種別TOEICスコアは参考の参考ぐらいの意味合いしかなく、結局は、ビジネスパーソン一人一人のキャリア戦略に合わせて、自分自身で目標を設定するのが賢明だということです。余力のある方は、外資内資、業界問わず、強気で攻めていける800点以上取得をまずは目指しましょう。

・TOEICスコアを企業はどう見ているか?

企業の採用担当はTOEICスコアからどのような情報を読み取るのでしょうか?ざっくりと読み取るのは「当該部署で即戦力となる英語力があるかどうか」あるいは「即戦力になるための猶予期間」あたりの情報です。たとえば、TOEIC780と履歴書にあった場合、「当社の基準は800点だが、入社後おそらく1年ぐらいでクリアできるだろう」と読み取ったり、TOEIC870であれば、「当社の基準クリア、二次選考へ」、TOEIC690なら「基準の800にはかなり遠いが、このキャリアならぜひ欲しいし、応募者は海外実績豊富なので、海外業務は問題ない可能性が高い」というような判断をします。TOEICや英検などの数値だけでなく、本業や経歴のもしっかりアピールしましょう。

・TOEIC900点が生かせる外資系企業

外資通販 750点 外資電機 860点 外資コンサル 900点 外資銀行 850点 外資保険 900点。

日系企業よりも求められる英語レベルが高いことがわかります。上司や上層部が外国人であることが多いため、彼らとの意思疎通上これぐらいの英語力が必要なのです。ただ、外資系企業出身の著者自身、話す英語は、中学英語で十分でした。ネイティブのように話すことはほとんど期待されておらず、むしろ論理的な説明力の方が強く求められました。つまりアメリカの企業に転職するからといって、アメリカ英語に精通する必要はないということです。それよりも多様な国籍の人たちの英語をキャッチできるリスニング力と、拙い英語を気にせずに攻めていくスピーキングの度胸の方が求められます。ただ、攻めの議論を展開するためにも、膨大な英文資料を消化するためにも、TOEIC900点レベルの受信力は必要です。

・英検を企業はどう見ているのか?

英語そのものの難しさと言う点では、おそらくTOEIC900点台よりも英検1級の方に軍配が上がります。とりわけ語彙の難しさにおいて英検1級はTOEICで扱う語彙レベルをはるかに超えています。語彙の難度や専門性の高さにおいて、英検はTOEICよりも留学向けテストのTOEFLに近いです。英検は、英語運用力を重視する外資系企業ではほとんど考慮されません。一方、日本企業における英検の認知度は高く、英検2級以上であればアピール材料になります。ただし、英語運用力をアピールしたければ、やはりTOEICスコアとセットでのアピールが理想です。

一部ながら、英語をほとんど使わない企業の場合、学校で長年親しんできた英検の方がTOEICよりも認知されているために、英検の方がTOEICより評価の対象にされるケースもあるようです。

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6.求められる英語力レベルに役職別の違いはあるか?

・役職別TOEICスコア一覧

自動車大手係長:600点、大手商社管理職730点、大手電機課長:700点、大手電機幹部:800点

シンプルに言うと、役職が上がると求められる英語力レベルも上がるということです。役職が上がれば、会社の経営幹部にも報告を上げる必要があり、その層になると一定の外国人がいることも多く、彼ら向けの報告やプレゼンは、定型業務的な英語レベルを超え、概念性、抽象性が高い英語が求められます。ただこの情報は参考程度ぐらいの意味しかありません。多くの会社の係長は600点で課長は700点必要、幹部クラスはどんな企業でも800点は必要という意味では決してありません。

・あくまでも自分の領域でレベル感をつかむ

求められる英語レベルに関する一般的情報、平均点情報、他社情報は本当に参考程度の意味しかありません。たとえば、TOEICでは役職が上がるほど平均点が高くなっています。皆さんの会社を想像すればわかりますが、だいたい役員クラスで英語テストを受ける人は限定されている一方、一般社員は全員にTOEIC受験が課せられるため、前者より後者の方がレベルやモチベーションにばらつきがある分、結果平均点も低くなりがちです。

最終的には、自社の英語評価体系、転職したい会社の英語事情から、自分が目指す英語レベルを設定するしかありません。一つ普遍的なレベル設定法として「定型表現の多い仕事か、守備範囲の広い仕事か?」というスクリーニングがあります。前者であればTOEIC600点、後者であればどんな複雑かつ不慣れな内容でも対応できるようTOEIC800以上を目標設定するようなイメージです。

以上、企業で求められるビジネス英語のレベルについて見てきました。ビジネス界は刻一刻変化し続けています。業界平均だとか、今年の新卒の平均点だとかは、あまりあてになりません。巷にあふれる平均点情報に惑わされることなく、自分に最適化した英語戦略を立てていきましょう。

 

 

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