社会人が英語の勉強をやりなおすとき~グローバル人材育成(語学)のヒント

社会人が英語の勉強をやりなおすときってどんなときでしょうか?趣味・教養・旅行・ビジネス、様々な動機があると思いますが、学校時代に学んだ英語との一番の違いは、自分起点ということではないでしょうか?

ビジネス・プライベート問わず、どんな教材を使い、どんな方法で、どれくらいの分量でやるのか、すべて自分都合、自分の気持ちに準じて決めていく。これが大人の英語学習の何よりもの快感です。

しかし、いざ「大人の英語学習は自分の気の向くままに」と言われても、何からどうはじめてよいかわからない方もいらっしゃると思います。そんな方に今回の記事はお勧めです。

 

1.社会人が英語の勉強をやりなおすとき

英語と他の外国語の学習の一番大きな違いは何しょうか?

一部の方を除き、多くの方々にとって他の外国語は基本的にゼロから学ぶのに対して、英語は一度学生時代に入れた知識を再度学び直すことになるのではないでしょうか?つまり、他の外国語と違い、知っているところと、忘れたところが穴ぼこになっているということです。したがって、第三者からレッスンを受けるとき、他の外国語は100%教師が提供する知識を特に精査せずに受け取る一方、英語の場合は、既知情報が多すぎると飽きてしまったり、逆に既知情報が少なすぎると、「もっと基礎から教えてほしい」となり、学習者によって違う知識の濃淡という課題が浮き彫りになります。

大人が英語を学び直すときのコツは、まさにこうした自分自身の知識の濃淡、英語力レベルを知りながら、そこに手当をするように学んでいくことです。退屈過ぎるのも、難しすぎるのも、まずは自分で自分のレベルをある程度把握できてこそ、回避できるのです。

以下にTOEICパート5の設問を挙げておきますので、この英文を見たときの自分の感触で、おおよその自分のレベルを把握しておきましょう。

設問:以下の英文のカッコの中に入るものをAからDの中から選びましょう。

(    )Mr.White is a great researcher, we  cannot hire him at the institute at this time.

A)Nevertheless B)Despite C)Although D)Because

(出典:これならできるTOEICテスト!目標350点 明日香出版社刊)

パート5は設問文中の空欄に入るものを四択から選ぶ問題ですね。この英文に対する感触で該当するもの選んでみましょう。

【TOEICパート5の解答の感触からレベル感を探る】

正解もその理由もわかる。
主語や述語動詞など自分で英文の構造を解読できる。
意味を知らない単語がほとんどない。
英文理解スピードが5秒以内。
4択の意味や用法の違いがわかる。
この長さやレベルの英文を読むことに苦痛を感じない。
この長さやレベルの英文は自分でも話したり書いたりできそうだ。

ざっくりとした目安として、7つ全ての選択肢が該当する方は上級、4ー6個なら中級、3個以下なら初級としておきます。

リスニングにおいても、一番最初の壁はスクリプト化されたものを自力で解読できるかどうかにあります。発信においても、主語や述語動詞を組み立てたり、そこにはめ込むための基礎語彙が必要です。つまり英語4技能(リーディング・リスニング・ライティング・スピーキング)における自分のざっくりとしたレベル感をつかむには、上記のような何らかの英文を用意して、それが自力で読めるかどうかを自分で確かめてみればよいということです。

※ちなみに上記設問の正解はC)です。Aは「それにもかかわらず」と言う意味の副詞ですが、接続詞ではないので、上記のようにカンマで二つの節をつなぐことはできません。Bは「~にもかかわらず」という前置詞で、上記のように主語+動詞の節を後ろに取ることはできません。Dは「~なので」と言う意味なので文意が通りません。上記英文の意味は「ホワイト氏は優れた研究者だが、今回当施設では彼を雇うことができない」です。

さて、ざっくりと自分のレベル感がわかったら、今度は英語を勉強する目的に合わせて、やり方や教材などを考えましょう。

 

2.目的別・英語の勉強のやりなおし:総論

ビジネス目的と趣味や旅行目的では、勉強の量も内容も違ってきます。一番悩ましく、そして案外一番多いのが、具体的な目標が定まっていないケースです。しかも、そういう場合、英語の優先順位は決して高くないことも多いです。「取り立てて明確な目的もなく、かつ、勉強の優先順位も低い」~案外これが日本の英語学習者の中で一番多い層なのかもしれません。

英語などできなくても仕事も生活も困らない人が大半の日本では、このほわんとした動機こそ見逃せないのです。なぜならば、この弱い動機は案外曲者で、よほど工夫しない限り、「できたらいいなぁ~」で終わる可能性が非常に高いからです。また、世の中のスクールを見渡しても、「なんとなくできたらいいなぁ~」という方を対象としたサービスは少なく、ビジネス目的以外であっても、クッキング英語、旅行英語、ポップスを楽しむ英語クラス、英文リーディング、通訳・翻訳など、なんらかの目的が付随しています。

こうしたことから、一番ハードルが高いのが、「なんとなく英語を勉強しなおしたい」方々であることがお判りいただけたかと思います。それではどうやって、勉強の世界に踏み出していけばよいのでしょうか?次のセクションで詳しく見ていきましょう。

 

3.目的別・英語の勉強のやりなおし:趣味・教養

具体的な目標が定まっていない場合や趣味・教養として英語を勉強しなす際には、以下のような四象限で自分の英語を概観します。

縦軸が英語そのものへの興味、横軸がコンテンツへのこだわり具合です。まずはコンテンツも英語もどちらにも非常に関心度の高いAについて見ていきます。関心の相乗効果で、勉強のやり直しが最もスムーズに進むと思われます。

 

A:好きなコンテンツでやや背伸びした英語を楽しむ

Aは、英語自体が多少難しくても、背伸びを楽しむ傾向があるため、案外そこは重要ではなく、むしろどれだけコンテンツに興味を持てるかだと思います。Aにお勧めコンテンツは、英語の原書です。その選び方としてはざっくり4つあります。

【洋書とうまく”出会う”方法】

動画やメディアで知り得た外国人の著書を探す。
日本語著書の英語版を探す。
少し長期戦にて、まずは傾倒するブロガーやYouTuberのコンテンツを見て、彼らの読書遍歴や推薦図書が提示されたら、翻訳版なら原書、関連分野の英語図書を探す。
アマゾンで、英語のキーワード片っ端から探す。

私が上記手法で辿り着いた図書を紹介しましょう。

At Your Command (English Edition)●タイトル:At Your Command アクセスはこちら

●著者:Neville Goddard

●内容:アメリカの実業家ネビル・ゴダードが表した願望実現のための様々なスピリチュアルな奥義が紹介されているエッセイです。128 ページというボリューム感は、「なんとか読めそう」という気持ちにさせてくれるでしょう。

●楽しむコツ:翻訳版「世界はどうしたってあなたの意のまま」(ヒカルランド刊)を一読してから読むと、読解のストレスは軽減されるかもしれません。

 

Awakened Imagination: Deluxe Edition参考までに、同著者Neville Goddardの未翻訳本も紹介しておきます。

●タイトル:Awakened Imagination アクセスはこちらから。

●著者:Neville Goddard

●内容:At Your Commandよりも、具体例や聖書からの引用、古典詩などの引用が多いのが特徴です。

●楽しむコツ:聖書からの引用が多いため、さしずめ、聖書の日本語訳をネットや実際の聖書などから検索して、その意味を確認していくとよいでしょう。著者の発言はかなり抽象度が高くてわかりにくいのですが、聖書の引用部分がわかれば、そこから著者が言いたいことを逆に推測していくことも可能になっていきます。

参考までにAwakened Imagination の解説動画もアップしておきます。こちらは、翻訳本がないことに加え、処女作At Your Commandよりも多方面からの引用が増えているため、ハードルはかなり高くなっています。以下の動画では、その中でも難読と思われる箇所を選定して解説しています。

【難文攻略(Awakened Imagination by Neville Goddardの難読箇所の解読)】

●タイトル:Summary: 21 Lessons for the 21st Century

アクセスはこちら

●著者:Yuval Noah Harari

●内容:原書「21 Lessons for the 21st Century」の要約版です。

●楽しむコツ:翻訳版「21 Lessons ; 21世紀の人類のための21の思考」(河出文庫刊)を一読してから読むと、読解のストレスは軽減されるかもしれません。著者はETV特集 「緊急対談 パンデミックが変える世界」でも取り上げられ、世界で最も注目されている歴史学者の1人です。

アマゾンでなるべくボリュームの少ない洋書を探すためには、冒頭に【summary】と入れて検索したり、詳細情報欄でページ数をチェックしておくとよいでしょう。

 

なお、参考までに洋書の選び方についての動画を2つ紹介しておきます。

【洋書の選び方:ビジネス書編】

【洋書の選び方:小説編】

 

B:好きなコンテンツで消化範囲内の英語を楽しむ

次にBについて見ていきましょう。コンテンツへのこだわりはそのままに武士道 Bushido: The Soul of Japan【日英対訳】 (対訳ニッポン双書)、英語のレベルを消化範囲内に調整していくイメージですね。この層にお勧めなのが、対訳シリーズです。つまり、日本語箇所でまずは普通の読書感覚で知的好奇心を満たします。そのあとで、英訳箇所を読んでいきます。隣に和訳が付いているので、わからなくなったらいつでも和訳に戻ることができます。自分が興味ある領域で読めることはもちろん、そういう話題を話せるようになりたい方にもお勧めです。

こちらは「対訳日本双書」シリーズです。アクセスはこちら

自分の国のことなのにうまく説明できないストレス、どなたも経験があるのではないでしょうか?その原因は主に二つ。一つは英語力の問題。そしてもう一つは日本語でも十分に説明できないこと。このシリーズはまさにこの二つの問題にソルーションを提供してくれます。

こちらに紹介した「武士道」以外にも、様々なコンテンツがありますので、自分が最も興味を持てそうなものを一冊選んでみましょう。

 

 

C.やや背伸びした英語そのものの学習

取り立ててコンテンツへのこだわりはないけれど、英語は手ごたえのあるものがいい。そういう方は、リーディングとリスニングの併用型学習がお勧めです。Cのタイプは、英語そのもののブラッシュアップに関心が高いため、リーディングだけの学習よりも、そこにリスニングをはさませ、総合的に英語力を向上させるアプローチだと満足度も高くなると思います。

例えば、ネット上でIndustry 4.0についての記事を探してみましょう(アクセスはこちら)。このように記事の中に動画が組み込まれているものがよくあります。たとえば先に記事を熟読してから、動画を視聴したり、その逆でも構いません。だいたい時事的なテーマは英語で検索すると、様々な記事や動画がヒットするので、手当たり次第やってみるとよいでしょう。YouTube動画の歯車マークをクリックすると、英語自動字幕の設定、スピードの設定もできます。今回取り上げたIndustry 4.0のように日本でも頻繁に取り上げられているテーマであれば、日本語サイトで予習してから英語サイトに進めば、一層「英語そのものの解読」に集中できるようになろうかと思います。

 

D.消化可能範囲の英語そのものの学習

いわゆる英文法の学習が最も適している層だと言えます。つまりコンテンツよりも、英語そのものをしっかりと理解できる下地をづくりたい方は、市販の文法教材などで英語そのもののおさらいをやっていくとよいでしょう。ただし、英語そのものの勉強に飽きてきたら、CやBに進んでみてもよいでしょう。英語そのものの学習にうってつけなのが文法教材です。今回はレベルに分けて3タイプご紹介しましょう。

これでわかる 英文法中学1~3年 (中学これでわかる)●初級レベル:「これでわかる英文法」(詳細はこちら)→基本構文を使って積極的に英語を発信したい方、基本中の基本からしっかり勉強しなおしたい方にお勧めです。

中学生向けの教材なので、たくさん演習問題がついています。これらを実際にやってみてもいいですし、面倒であれば、解説部分だけをざっと読んでおくだけでもよいでしょう。

ページを読み進めていきますと、「それは今でもわかってる」「言われてみればそうだったかもな」「え?そうだったの?全然知らなかった」という具合に、理解度にばらつきがあると思います。したがって、最初から均等に読んでいってもいいのですが、わかりきっているところは大胆に読み飛ばしていくのも一計です。ここがゼロから学ぶ中学生や小学生と大人の英語学習の違いでもありますので。

 

1日でできる やさしい英文法: 中学3年間の英語総復習●初・中級レベル:「話す英文法」(詳細はこちら)⇒「これならわかる英文法」よりも「話すこと」や「実践」に重点を置いています。また体裁的にも、「これでわかる英文法」と違い、中学生ではなく成人学習者向けの装丁なので、学校の教科書の学び直しに抵抗がある方にもお勧めです。瞬間英作文トレーニングが充実しています。最初は右ページの英文を見て、即意味が浮かぶか確認し、次に左ページの日本語を見て、最初はゆっくりでよいので英語化していきます。英語をすぐに使う環境にない場合、声に出して覚えるモチベーションはなかなか生まれにくいと思いますので、その段階では、頭の中で英訳ができればひとまずよしとしておきましょう。また、音源もついていますので、音声ベースで理解できることも確認しておきましょう。余裕がある方は、英語話者のリズム、イントネーション、区切り方なども観察し、自分でもその話し方を真似してみましょう。ちなみに。音源に合わせて声に出すことをシャドーイングといいます。

参考までにリスニングトレーニング2種(シャドーイングとリテンション)の解説動画を添付しておきます。

【シャドーイングとリテンションの違い】

 

総合英語Forest 7th Edition中級以上:FOREST(詳細はこちら)→高校英文法の定番です。読書感覚で楽しんでみましょう。

この本の使い方にはざっくり【網羅型】と【深堀型】があります。【網羅型】は1ページから最後まで通読するやり方。【深堀型】は、最初に目次で自分が知りたい章を絞り込み、その章だけをじっくり読んでいきます。600ページ以上ありますし、多くの方の文法知識は、ゼロというよりも虫食いになっていると思うので、個人的には【深堀型】がお勧めです。この場合でも、常に手元に置いて、気になったとき、気になった章だけを読んでいけば、気が付くと【網羅型】にかなり近づいていることもあろうかと思います。

 

 

なお、教科書よりも動画でさらっと学び直したい方向けに、参考として以下の動画をご紹介しておきます。

【動詞(自動詞・他動詞・句動詞・前置詞)の勉強しなおし動画】

【準動詞(現在分詞・過去分詞・動名詞・TO不定詞の勉強しなおし動画】

【関係詞の勉強しなおし動画】

【仮定法の勉強しなおし動画】

コンテンツへのこだわりよりも英語そのものを学びたいモチベーションのあるD層には、英文法学習の他に英単語学習もお勧めします。将来語学が本格稼働することになった際、そのエンジンになるのが英文法と語彙力だからです。

英単語の鬼100則・英単語の鬼100則(詳細はこちら

拙著で恐縮ですが、英単語学習の様々な学び方を読書感覚で楽しめる「英単語の鬼100則(明日香出版社)」もご紹介しておきます。

企業研修で体験したのは、企業でも圧倒的多数は「今すぐ英語を必要としていない、”切羽詰まっていない”人たち」だということ。その体験をヒントに、趣味や教養、読書感覚で楽しみながら、多様な語彙学習法を知っていただき、ついでに掲載単語も覚えていただくことを目指して書きました。英語単語本でありながら、イラストの比率、日本語の比率が非常に高いのが特徴です。参考までに本書の紹介動画を添付しておきます。

【英単語の学び方を探りながら、英単語数を自然に増やしていく”英単語の鬼100則”】

いかがでしたでしょうか?英語を勉強しなおす目的が不明瞭な場合でもこれだけの具体的方略が見つかるのです。どんな場合でも、基本はやはり自分自身の状況を知ってこそ、具体的な方略が見つかります。自己観察の結果、目的が明確になった方であれば、英語の学び直しは、それほど難しくありません。

4. 目的別・英語の勉強のやりなおし:旅行・英会話

1)お勧め教材

ネット上には様々な旅行フレーズが紹介されているので、それらを色々集めてみるのも楽しいですね。ただ、旅行英会話に必要なフレーズを体系的に学ぶのであれば、一冊携帯できるものがよいかもしれません。

世界中使える 旅行英会話 大特訓・世界中使える旅行英会話大特訓(詳細はこちら

旅行英会話なので、本教材は最終的には暗唱レベルまで持っていきたいところ。ただいきなりそこを目指すのはハードルが高いという方は、低いハードルから徐々に高めていきましょう。最初は、黙読で英文を観察していきます。「こういうときにはこう言えばいいんだぁ」という感じですね。次に音源を聞いて英文と音声を照合していきます。その際、A=自分が思い描いている通りの音声で自分でも再生できそうなもの B=自分で思い描いている通りの音声だが、再生は難しそうなもの C=自分が思い描いていたものとは違う音声のもの の3つに仕分けしていくとよいでしょう。おそらくAはそのまま音読すれば問題ありません。Bは完全に耳コピーするというよりも、音読しながら徐々に音源に近づいていくイメージ。Cは無理に真似る必要はありませんが、可能なら聞こえるままに一度声に出してみましょう。たとえば、coffeeとカタカナの「コーヒー」の音声の違いは大きいですが、なるべき聞こえるままに「カフィ」みたいに真似してみましょう。

2)一人でもある程度発信練習は可能

話したいことは、事前に自動翻訳させたものを用意できるため、無理に市販教材を使わずとも発信の練習は可能です。以下の動画も、一人でできる発信トレーニングを紹介してあります。旅行や日常的な英会話レベルであれば、自動翻訳はかなり高精度な英訳を作ってくれます。平易な内容である限り、初級学習者も大いに活用しましょう。自分自身に相応の英文検証・校正力がある上級者であればなおさら活用用途は広がることでしょう。

【自動翻訳を活用した発信トレーニング;図解スピーキング動画シリーズ】 

5. 目的別・英語の勉強のやりなおし:ビジネス

少し意外に思われるかもしれませんが、ビジネス目的の英語と趣味・教養目的の英語の境界線は曖昧です。なぜなら、純粋にビジネスの話をしている場面というのは、会議室などに限定され、休憩時間も会食もオフィスでも、圧倒的に他愛のない雑談をしている時間の方が長いからです。つまり、カチカチのビジネス英語だけを仕込んで海外出張に臨んでいっても、膨大な雑談時間に途方に暮れる可能性が非常に高いということ。図にするとこんな感じになります。

いわゆる「ビジネス英語」というと、会議・交渉・プレゼン・メールがその定番だと思いますが、実際に英語を使って仕事をするということは、もう少し守備範囲は広くなります。その点を踏まえ、カチカチのビジネス英語に入る前に、ぜひ先述の「3.目的別・英語の勉強のやりなおし:趣味・教養」も参考にしてください。

1)ビジネス英語教材の選び方

書籍としてのビジネス英語教材は、教材製作の都合上全業界・業種でも使えるような非常に一般的なフレーズ中心となります。したがって、ざっくりと「仕事の英語はこんな感じで進められていく」というイメージの参考程度に使うのが現実的だと思います。参考までに初中級向けと上級向けの教材を紹介しておきます。

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限定されたビジネス英語、すなわち会議・交渉・プレゼン・メールなどを一通りカバーした教材としてお勧めです。また、それぞれの場面における、おおよその展開チャートを各チャプターに提示しているので、そちらを参考に、事前準備をされるとよいでしょう。なお、こうしたことからも、本教材は、あくまでも事前準備が許された環境での英語がメインです。実際の会議やプレゼンに臨む前に、可能な限り英語を仕込んでおきましょう。

 

 

 

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「説得」にフォーカスした上級向けのビジネス英語教材です。場面を話題の重要度と人間関係の距離の二つの視点で分けているため、これから遭遇するビジネス場面を自分なりにこの2軸に落とし込み、場面最適化された英会話を展開していくことが可能となります。また、ビジネスシーンで頻繁に使われる7つの言語行為(問い合わせ・依頼・提案・断り・謝罪・苦情・反対)で章分けされている点も非常に実用的です。

 

 

2)ビジネス目的ならTOEICを活用する

市販のビジネス英語教本の代わりに有効なのがTOEICです。勤務先でスコアが求められているのであれば、TOEIC模試の問題演習がお勧めですが、そうでなければ実際の仕事に登場する英語の観察材料として使うのも一計です。一度解答した教材での再利用にもお勧めです。一般的な英語の勉強のやりなおしであれば、英検でも構いませんが、ビジネスという明確な目的がある場合、実践性重視のTOEICの方をお勧めします。

【関連記事】TOEICと英検の違い~テスト対策以前の必須知識

【関連記事】企業で求められるビジネス英語のレベル

 

【解かずに観察するTOEIC模試活用術】

 

3)ビジネス目的なら時事用語武装を

ビジネス目的であれば、英語に乗せる自分のコンテンツレベルを上げておくことを考えておきましょう。なぜならば、外国人のビジネスパートナーがあなたに一目置くのは流暢な英語力よりも、話す中身の方にあるので。その導入してお勧めなのが、時事用語から英単語学習に入っていくことです。特に昨今は目まぐるしい速度で、新しい用語や略語が量産されているので、これらをキャッチアップするだけでも立派な英単語学習になります。また、単に英語力に資するだけでなく、日頃のビジネス文脈での日本語での会話にも深みが出てきます。DXの定義づけもポジションもわからない状態でDX、DXと連呼する虚しさも、一度DXの定義をしっかり押さえることで、この1つの用語に対する自分の確信度が深まり、ビジネストークにも説得性が生まれます。以下に添付した2点の動画は、「2分でわかるしごと英単語」からの抜粋です。本格的なビジネス英語の学習にハードルの高さを感じる方は、このあたりの動画視聴から始めてみてもよいでしょう。

【2分でDXという略語をGXとセットで分析】

【DXをdigitizationやdigitalizationと関連させてイメージ化】

 

6.TOEICレベル×目的×勉強時間のイメージ

これまで、目的別に英語の勉強について見てきました。これを一覧にまとめるとこんな感じです。まずは学習時間のイメージです。学習時間はやり方や個人のレベルによって成果は違うため、この数字はあくまでもざっくりとした目安としてお考えください。まず一般的なTOEICスコア100点アップに必要な所要時間を基軸として、適宜時間を調整してあります。

【レベル別×目的別の所要学習時間のイメージ】

上級者がビジネス目的で英語を学ぶ場合、TOEICのスコアアップに照準を合わせると、1日3時間ぐらいの学習時間が必要。ただしこれは3か月の短期間の場合なので、期間を伸ばして1日当たりの学習時間を減らすこともできます。また1日3時間も細切れ時間に文分割すれば、決して実行不能な数字でないことがわかります。たとえば「早朝学習1時間、朝の通勤0.5時間、昼休み0.5時間、夕刻の通勤0.5時間、就寝前0.5時間」という感じですね。一方、趣味・教養・英会話であれば、そもそも学習時間という概念を取り払って楽しんでいくのもありだと思います。

初中級も同じ要領で算出してあります。ビジネス目的であればTOEIC中心のメニューを組み、相応の学習時間を確保する必要があります。一方で、趣味・教養・英会話であれば、「継続」を第一にして、学習時間にはあまり厳密である必要はないかもしれません。

初級の場合、1日も早く、英語を分かる状態に進みたいという心理もあるでしょうから、英文法や基本単語の学習を1日1.5時間ぐらいやっていくとよいでしょう。

どのレベルにおいても、やはりビジネス目的の場合の所要学習時間が一番多く、一方、旅行や英会話の所要時間は比較的短めに設定してありますが、各自の状況に合わせて、この時間は調整していきましょう。例えば今すぐ話せるようになる必要がある場合には、旅行や英会話に時間を集中的に宛がってもよいでしょう。

次に学習内容を見ていきます。一覧にするとこんな感じです。

【レベル別×目的別の英語学習内容メニューのイメージ】

こちらについては、すでにこれまで詳細を紹介してありますので、割愛します。この一覧表から、学習者のレベルと目的によってやるべきことが違うことがイメージできれば十分だと思います。

 

7. 遅いスタートだからこそ味わえること

本ブログを通して、何かを勉強しなおすにあたって、明確な目的や目標がなくても十分楽しめることをお伝えしてきました。むしろ、楽しんでいるうちに、新たな目的や目標が生まれることも人生では多いように思います。とりわけ英語は多方面につながっているため、何はともあれ英語を勉強してみれば、やがて、そこから何らかの特定領域に到達することは十分ありえます。「これまでモヤモヤしていたことがすっきりとしていく楽しさ」それひとつだけでも今から英語を勉強しなおす価値は十分にあると思います。

また読者の中には、「英語を学ぶ必要性があまりない」という方も多いと察します。英語を学ぶ必要性があまりないということは、ある意味とても自由でもあるということです。私自身、英語の必要性ど真ん中(に見える)の企業研修を20年近く請け負ってきましたが、緊急性の高い案件よりも、切羽詰まっていないケースが圧倒的に多かったです。こうした現状から、英語を学ぶ必要性が低いことはかえって勉強の追い風になることもある。つまり、各自の興味とペースで楽しく学んでいくことで実は一番の語学習得の近道になることもあるように最近は思います。まして遅いスタートであれば、仕事のような明確な目標期限などもなく、きっと勉強の自由度も大きいことでしょう。英語の勉強につきまとう、必要性、実用性、効率性などから一旦自由になって、自分にとって心地いい英語、心地いい学び方を見つけていきましょう。

 

 

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