英語が話せないのはなぜ?~スピーキングが伸びない人の共通点15選

「英語の”勉強”はやっているけど、なかなか話せるようにならない」こういう悩みは英語学習に割とつきものだと思います。むしろ勉強を比較的よくがんばっている方々ほどその傾向が強いようにも感じます。

 

問題を確実に解消していくためには、そもそもなぜ話せないのか、その理由を認識することが肝要です。もちろん原因を知るだけで即話せるようになるわけではありませんが、少なくとも日々の学習における納得度や安心感はかなり違ってくると思います。まずは「知るは安心」から。

 
 
 

1. そもそも学習の習慣がない

外国語習得にはざっくり分けて、文字起点型習得と音声起点型学習があります。英語教育業界にいるとついつい前者ですべてを考えがちなのですが、さほど文字ベースで英語が読めなくても英語を話せる人はそれなりにいます。ですから、文字を中心とした学習の習慣がないとか、学校の勉強が苦手だったという場合でも、英語スピーキングについては、そうしたものに縛られずに楽しむ道があることだけはお伝えしておきたいです。

 

私の場合、「語学は必ずしも文字が全てではない」そう考えるきっかけをくれたのが韓国語でした。文法構造も日本語とほぼ同じですし、発音もカタカナでほぼ通じてしまう韓国語。これならハングル文字の学習をしなくても、カタカナ、つまり音声だけでかなりスピーキングはカバーできてしまいます。チョヌン・アダチヒロシ・イムニダ。チグム・チュングンマールハゴ・ハングンマールルル・コンブハゴイッソヨ(私は安達洋です。今、中国語と韓国語を勉強しています)というように、音だけでいくらでも会話の世界を広げていくことができます。そもそも学習という習慣があまりない方、文字ベースでの学習が苦手な方は、音声中心で英語に慣れ親しんでいきましょう。

 

「文字を学んだり、様々な文法規則を学ぶより、とにもかくにも話したい」という方は、一度文字や文法から離れて、音声だけで学べる動画にアクセスしてみましょう。

【文字に頼らず、音声だけの英語学習】

2.「話す」より「勉強」が好き

私を含め、日本人に圧倒的に多いのがこのタイプだと思います。学校英語の影響もあり、やはり勉強科目としての英語という発想が染みついているのだと思います。

 

知識であれ単語であれ英会話を助けることはあっても邪魔になることはありませんので、ぜひこのまま勉強は続けていくとして、次の一点だけを自分に問うようにしましょう。それは自分が今置かれているステージが「勉強やインプットに集中すべきステージ」なのか「ぼちぼちアウトプットを導入すべきステージ」なのかの見極めです。例えば将来英語を使う目処が全くなければ、前者としてそのままインプット中心の学習を続けていけばよいでしょう。また、仮に実践を想定しているとしても、結局リスニング力があまりにも足りないと会話は成立しませんので、リスニングトレーニングは英会話の準備としてやり過ぎということはありません。また自分で言葉を組み立てるベースとなる基礎文法や語彙が不十分である場合も同様です。一方、TOEIC高得点ホルダーをはじめとして、それなりの読む・聞く力があるのに、話す力が極端に劣っている場合には、ぼちぼちアウトプットも入れていきましょう。

【TEDを使った即興スピーキング】

 

3.「話す」手前の壁が「話す」を遮断

ロシア語を勉強して分かったのですが、新しい外国語を学ぶと、話す以前に、文字とつづりの壁、基本単語の壁、文法の壁を痛感せずにはいられません。小中学生あたりまでですと、文字抜きで音だけの英語学習もありかなぁとは感じています。特に文字での学習が苦手な子に対しては、音だけの学習もありではないか、と。

 

私の場合、やはり学校で英語を学んだ体験が染みついていることもあり、これら3つをまずは固めてから、話すステージに進もうとは思っています。

 

これはどれが正しいかというより、どの道を選ぶかという本人の選択の問題でもあるように思います。ですので、粗削りでもいいからまずは話せるようになりたい、と言う方は、音声だけでの学習もありだと思います。たとえば挨拶や中学レベルの表現であれば、特にそこにつづりの問題や文の構造の問題などは差しはさまずに、表現の丸暗記で進んでいけるとは思います。その上で、「やはり文字も読めた方がいい」となってから後付けで学んでもよいと思います。

 

とはいえ、学校教育の現状を考えると、やはり文字ベースでの学習を完全に排除することは難しいので、あの手この手でつづりと音声の関係性について知識を増やしていくことが現実的かもしれません。

【英語のつづりの不思議】

 

4.超えられない「完璧主義の壁」

完璧主義を完全になくすことはできないかもしれません。でも、その完璧主義をどこにどれくらい「配分」するかについては検討の余地があります。その大前提として、完璧主義の度合いは、人によって、状況によって違うということをここで確認しましょう。

 

例えばコンテンツ執筆者のAさんと、それを製品化する立場のBさんがいるとします。Aさんは自他ともに認めるガサツな人、Bさんは自他ともに認めるきっちりとした人。コンテンツ納品間近になり、Aさんが執筆上の間違いを見つけました。それまでに何度も細部にわたって間違いをBさんから指摘されてきたAさんなので、今回もBさんに恐る恐る修正の申し出をしました。「もう少し前にしっかりチェックしてください」と叱責されるのも覚悟していたAさん。しかしBさんからは意外な回答がかえってきました。「その間違いは、こちらも承知しておりましたが、製品としての品質には影響がないとして、このまま進めさせていただきます」というのがBさんからの回答でした。

 

このように同じプロジェクト内でも、内容や、扱う人、状況によって完璧主義の度合いは違う。つまり完璧さとは実に相対的なものであるという好例です。例えば文法的正しさひとつとっても、会話では全く見過ごしてもらえるのに、それが公的な印刷物となった途端厳しくチェックされることもあります。また教育的配慮から、ライティングレッスンでは非常に細かく修正されていたのに、スピーキングレッスンになった途端、「間違いを気にせずにどんどん話そう」と180度指導方針が変わることもあります。

このように完璧さとは相対的かつ流動的なものなのです。

 

では私たち英語学習者が持ち前の完璧主義を発揮できる場面はどこにあるのでしょうか?考えられるのはライティングコミュニケーション時の誤字脱字のなさ、文法的整合性あたりだと思います。またビジネスコミュニケーションであれば、例えば相手が言った発言を理解できなかった場合、そこで見過ごすことなく相手に真意を尋ねるのであれば、これも一種のコミュニケーションに完璧主義がもたらされる例と言えます。つまり完璧主義そのものの是非ではなく、もしそういうものがあるのだとしたら、どんな場面でそれを発揮すればよいか?ということです。

 

こう考えれば、フランクな会話においても、相手の真意確認や、あいまいな情報の明確化を目的とするときには大いに発揮すればよいし、単にその場を和ませたい程度の目的での英会話であれば、完璧主義はあまり発動しない方がいいと判断できます。例えば英語のジョークの目的は「理解」ではなく、「場を和ます」なので、仮に英語がわからなくても、その話のどこがおもしろいのかがわからなくても、そういう自分を許す。すなわち「理解」の領域での完璧主義を捨てる。もちろんそのあと「本題」に移ったときは、持ち前の完璧主義を再度動員して、内容理解に集中すればよいでしょう。

 

5.そもそも話したいこと、話したい相手がない

何を隠そうこの私がこれに該当します。仕事でもない限り、わざわざ英語で話したいことがありませんし、無理にお相手を探そうという気持ちもありません。つまり英会話は目指すものではなく、仕事の必要上あるもの、偶然の出会いの先にあるものであり、わざわざ相手を探し、話題を見つけるものではないということです。

しかしそれでも、私は英会話力は身につけた方がよいと思います。なぜならば、英語が話せるようになると、「いつどんな出会いやチャンスが来てもしっかりつかめる」という準備態勢が自分の中に整うからです。つまり、「いつか必要に迫られたらやる」ではなく、その必要性を引き寄せるために、先に英会話力を鍛えておく、という発想です。

「そもそも話したいことがないのにどうやって英会話力を磨くの?」という問いに対しては、何でもよいので一定のボリューム(1分ぐらい話せる長さ)の英語を暗記してしまうことをお勧めします。そして一度暗記してしまったら、いつでもどこでもその暗記英文を復唱してみましょう。これを毎日やるだけでも、きっと「とっさのスピーキング」にも動じないマインドが出来上がっていくことでしょう。

【長文暗記のコツ】

6.日本人の目が気になる

とある英会話教室の張り紙を今でも忘れられません。

「他の生徒さんの英語について批判することはお控えください」

そうなのです。日本人英語学習者の敵は日本人なのです。

 

ここは最初から予防線を張っておきましょう。「英語教師ですが英語を話すのは割と下手です」「英文学科卒業してますが、英語は話せません」「カタカナ英語でずっと仕事をしてきていたので、正直話すのは下手です」などなど、何か英語について言われたら、話すのが下手なことを認めてしまうのです。あるいは、あなたが話す英語にいろいろアドバイスをしてくるようなら、「アドバイスありがとうございます」とさらっとひとこと御礼を言って、英語云々の話題から早々に退散しましょう。もちろんそこから先は、マイイングリッシュでガンガン押しまくるだけです。

 

なお、同じ日本人が話す英語については、特にコメントを言う必要はありません。つまり相手の英語であれ自分の英語であれ、コミュニケーションのメインをあくまでも話す話題に置き、英語そのものの上手下手に意識を持って行かないこと。もちろん、とても流暢で褒めずにいられないときは別ですが、そうでもない限り、「英語お上手ですね」は無理に言わなくても大丈夫です。そもそもそういわれるくらい上手な人は、きっと話す内容の方を楽しみたいはずですので。

7.外国人のエネルギーに圧倒される

外資系時代、様々な外国人ビジネスパーソンと交流してきました。国籍も多様でしたので、日本人の英語力そのものは特段劣っているとは思いませんでした。ただ課題はそこではなくて、社交的場面に耐えうるだけの話題の豊富さ、話す時の自信といった、非英語的要素の方にあると実感しました。

 

これは何も実際に外国人とやりとりする機会がなくてもネット上でいくらでも疑似体験できます。その一例がTEDです。早口の英語が聞き取れないという課題とは別次元で、あれだけのコンテンツを自分が母国語レベルで堂々と発信できるかという課題を感じずにはいられません。

 

俳句をはじめとして、言語化を省略したり抑制することを良しとしてきた日本人が、その真逆の、外国人たちの旺盛な言語化能力を模倣することはかなり難しいのではないかと個人的には感じています。日本人が現実的に目指せるのは「口数は少ないけど、言うときには言う人」あたりなのではないかと思います。そのためすべきことは二つです。一つは自分なりの考えを一度英語で言えるようにトークメモを作っておくことです。

【日本人の宗教観を英語で説明する】

 

もう一つは、TEDを色々と聞き込んで、彼らの旺盛なプレゼンマインドを観察し、彼らとは違う、自分らしいプレゼンスタイルを模索することです。TEDほどのパフォーマンスができなくても、淡々と情報集約型のプレゼンをしたとしても、実際のビジネスの現場ではそれなりに耳は傾けてもらえます。His presentaiton is not necessarily gorgeous, but at least informative.「ビジュアル的に決して印象的ではないけれど、情報としての価値はあるプレゼンテーション」あたりのクオリティを目指せばよいということです

【TEDで外国人の熱量に圧倒されないマインドを作る】

8. 基本的な単語すら出てこない

実際に英語で話していると、知っているはずの単語が口から出てこないということはよくあります。特に中学レベルの単語が出てこないときなどは本当にがっかりしますが、それだけ私たちの記憶は実に気まぐれで、思い通りにいかないということです。実は、基本的な単語を度忘れしたとき、私たちは2つのギフトをいただくことができます。

 

一つ目のギフトは、その基本的な単語を知らない人、すなわち初級学習者への想像力です。私たちはついつい英語ネイティブスピーカーを基準に英語をとらえがちですが、基本単語すら口から出てこないストレスを抱えている外国人もたくさんいるということを思い出させてくれます。

 

二つ目のギフトは、違う単語を使って表現するスキルが身につくことです。例えば「土曜日」を表す英単語を度忘れしたとしましょう。「土曜日」を違う言い方で表すと、「日曜日の前日=the day before Sunday」「月曜日から6番目の日=the sixth day from Monday」などが考えられます。スマホで即「土曜日 英語」でチェックすることと並行して、こうした「咄嗟の言い換え」にも慣れておくと「平易な単語で英語を話す力」が身につきます。

 

9.会話が続かない

これだけ情報があふれている時代になりますと、何でも自分自身で完璧にこなそうという「自前主義」の発想自体が非常に苦しくなります。会話も同様です。外国の方々の中にはおしゃべり好きな方もかなり多いので、自分から無理に会話を続けようとしなくても、相手がどんどん何か話してくれることもあります。

 

「自分が英語を話せない」という現状から一歩踏み出して、「自分は英語はなかなか話せないが、相手に聞きたいことはたくさんある」というように、将来出会うであろう英会話の相手に向けて質問を色々とため込んでおくのもよいでしょう。やり方としては、中上級者であれば最初から英語で質問を考え、リストアップしておきます。初級者であれば、Google 翻訳に英訳させたものをChat GPTやGoogle Bardに校正してもらうとよいでしょう。

【Chat GPTに英語や和訳を校正してもらう】

外国人の方と話す時に、「自我の濃度」を知っておくとよいでしょう。

10. 暗記と実際に話すのは別

「たくさん表現を覚えたのに話せない」という悩みをよく聞きます。たとえばTOEIC700点台の語彙力があるのに、なかなか話せないという場合、その要因は、語彙力不足ではなくて、「既知の単語を想起(思い起こす)する練習不足」にあると思います。そのあたりの対策を紹介した動画がこちらです。こちらの動画で紹介されている「アジャイルトーク」とは、日本語文を見た瞬間に、次々と思い浮かぶ英単語を発話してくものです。ちょっと荒療治ですが、やってみて抵抗がない方にはお勧めです。一方、正しい語順で話すことがしっかり身についている方にとっては、語順度外視のこの方法はかえって混乱の元になるかもしれないのでお勧めしません。トレーニングメニューの向き不向きは自分でやってみてその感覚にしたがって判断しましょう。

【読めるのに話せない人向けのトレーニング】

11. 発音コンプレックス

私自身の発音は、中学時代に習ったものがそのまま止まっているような気がします。幸い、カタカナに一切頼らない発音指導を受けたおかげで、カタカナ英語の弊害に悩むことはほとんどありませんでした。ただそれでも自分が話す英語は、「日本人が話す英語」だと自分では認識しています。英語講師という職業を考慮しても、このことは特に私は気にしてはいません。

 

もしも気にした方がいいケースがあるとしたら、それは実際に英語圏の人たちと話してみたときの相手側の反応を見てから判断すればよいでしょう。ただ外資系企業で様々な日本人英語を聞いてきた私からすると、伝わらない英語は、もっぱら語順が破壊した英語であり、カタカナ発音はそれほど伝達の疎外にはなっていませんでした。世界中で話されている英語ですから、お国訛りにはかなり寛容な言語なのだと思います。

 

純粋に英語の歌を綺麗に歌いたいというのであれば、英語の音声変化を模倣するのがお勧めです。

【Chat GPTを使って発音練習】

12.「そんな言い方ネイティブはしない」が怖くて話せない

「英語ネイティブスピーカーはそんな言い方はしません」

 

この発言をよく考えてみましょう。そもそも「英語ネイティブスピーカー」はどの国の人を指しているのか?ちなみにプロに英文校正を依頼すると、「イギリス英語ではAだが、アメリカ英語ではBだ」というようなフィードバックが返ってきます。「ネイティブはそういう言い方はしない」というような主語の大きいフィードバックはかえってきません。

 

一度他のヨーロッパ言語を学ぶとわかるのですが、英語以外のヨーロッパ言語の特徴をざっくりいうと、名詞や形容詞に性別があり、動詞は主語の人称で変わり、英語でいう格(英語の場合、主格、目的格、所有格)が英語よりもかなり多かったりします。こうなってくると、ルール通りに話すことにリソースが使われるため、「そのフランス語はネイティブ的に自然かどうか?」というところまで意識が向かいません。逆に英語の文法はかなり簡易化されているため、「文法的には問題ないが、英語ネイティブスピーカーは普通そういう言い方するのだろうか?」という問題が多々発生してしまうのです。

 

ちなみに私自身も最近ロシア語の学習を始めたのですが、おそらく向こう10年、「文法的に正しいけれど、ネイティブロシア語スピーカーは普通そうは言わない」という問題には遭遇しないような気がします。多分、文法通りに話すという第一ステージをクリアするのに精いっぱいだろうと想像しています。

 

結論を言うと、そもそも英語ネイティブスピーカーの定義自体が多様である限り、言わんとすることが相手に通じている限りは、この点についてはほとんど気にしなくてよい、ということです。どうしても気になるなら、自分の英語をChat GPTにインプットして校正してもらいましょう。ビジネス文書などは定型表現が多いので、校正を依頼してもほとんどオリジナルと英文が変わっていないということも体験できることでしょう。

 

13. 聞き取れないから、話すタイミングもわからない

これは割と重要だと思います。日本人を含む外国人に対して平易な英語に調整して英語を話せるのは、その人個人の資質であり、英語話者全員に期待できるものではありません。つまり実地での英会話では、ある程度のリスニング力を磨いておく必要があるということです。

 

仕事で出会うアメリカ人の中で、ひときわわかりやすい英語を話す人がいたので、なぜそうなのか尋ねたことがありました。その人曰く、相手が非英語ネイティブ話者だとわかると、意識的に平易な英語で話すのだそうです。私のかつての同僚も同じでした。私と話す時の彼女の英語はなんとか理解できるのに、同じアメリカ人と話し始めた途端、その英語は全く聞き取れませんでした。

 

つまり、自分側でコントロールできないリスニングのハードルは自分でコントロールできるスピーキングのハードルよりも高いということです。さしずめ英語を話す必要がない限り、当面はTOEICなどでリスニング鍛錬しておけばよいということです。

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14. そもそも人とのコミュニケーションが苦手

英語が話せないという問題に対して、「日本語でならいくらでも話せるのに、英語になると全く手も足も出ない」なのか、「日本語でもあまりおしゃべりは得意ではないから、英語となればなおさら話せない」なのか、はっきりさせておきましょう。これまでのアドバイスはどちらかというと前者向けでした。後者の方へのアドバイスとしては、コミュニケーションの手段は決してスピーキングだけではなく、ライティングもかなり有効であることを申し添えておきたいと思います。ですので、自分の特性次第では、これからは、スピーキングは保留とし、しばらくライティングスキルを磨いてみるのも一計です。

 

また、スピーキングは英会話だけではなく、プレゼンテーションのような一方通行の形もあります。講師業が長い私の場合、どちらかというと対話より、この一方通行のプレゼン形式の講義が比較的抵抗なくできるような気がします。プレゼンも講義も、情報提供者VS情報享受者 という割とはっきりとした関係性のためか、英会話の時のようなキャッチボールも意識しなくて済みます。こうした私の個人的体験から、「コミュニケーションは苦手だけどプレゼンは別」という方は案外多いように思います。砕けた一般的な会話が苦手というだけで、英語スピーキングをあきらめるのは勿体ないと思います。「一方通行もスピーキングのうち」と考えましょう。

【本ブログ著者監修のプレゼンテーションの通信講座(ガイダンス動画)】

【英語でビジネスコミュニケーション実践編:プレゼンテーション・ネゴシエーション(詳細情報)】

 

15.外国人と日本人における自我の濃度の違い

そもそも日本語では、いちいち「私は」という主語を入れないのに対して、英語はしつこいくらいに「I」が登場します。こうした言語的特性からもわかるように、自我の濃度が日本人と外国人ではかなり違います。自我が弱い人は言葉数が少なくなり、自我が強い人は言葉数が多くなります。

ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」を読むと、「あふれる自分語りに圧倒される感じ」や「言葉が異常に多い感じ」を覚える人は私だけではないと思います。元来「自分がたり」のDNAがあまり濃くない、自我薄めの日本人が読むと、外国人の濃厚な「自我」に圧倒されるとしても不思議ではありません。もちろん昨今、日本国内でも「あふれる自我」をSNSなどで感じることはありますが、おそらくそうした人たちも欧米人の中に入ると、相対的に自我薄めな存在になるように思います…

【カラマーゾフの兄弟と犬神家の一族~自我が膨張する時代のライフハック】

同じことが同氏の「罪と罰」でも感じられます。近代化とは、まさに「自我の目覚め」の時代であり、日本も当然ながらその波に飲み込まれてはいますが、やはり欧米に比べると、自我の濃度は彼らよりはまだ薄いかもなぁと、欧米人との英会話でよく感じます。

【罪と罰~グローバル人材育成に欠かせない「自我」の考察】

こうしたことを踏まえ私たちが英会話上できることは二つです。一つは彼らの旺盛な自我に合わせ、自分の意見をあらかじめ周到に用意し、それを会話で大いに語ること。もう一つは、「話したがり」の外国人のエネルギーにそのまま乗って、自分の方は聞き役に徹することです。相手8、自分2ぐらいのアウトプット比率をイメージするとよいかもしれません。私の狭いビジネス体験ではありますが、大方彼らの方がしゃべり続けてくれるので、むしろこちらとしては相手に差し向ける質問の弾を持っていた方がよいと感じました。「自分から積極的に話したいと思うことがない」という方は、ぜひこの自我の濃度の違いについても知っておきましょう。そして「多くの場合、外国人はしゃべりたがりが多いから、それほどがんばって自分の方から会話を誘導しなくても大丈夫」という、ある意味「受け身」ぐらいの姿勢で英会話に臨んでみましょう。

 

以上、今回は、英語が話せない理由とその対応策について見てきました。英語研修の実例や、具体的な指導内容等は以下も参考にしてください。