Chat GPTも使い倒せ!英語が聞き取れない人の12の特徴と対処法~グローバル人材育成(語学)のヒント

英語が聞き取れない場面はざっくりと2つに分けることができます。一つ目は、聞き取れないことで実際のビジネスやコミュニケーションに支障が出る場合。もう一つは、聞き取れなくてもさほど問題にならない場合です。実際のリスニング学習に進む前に、自分の大まかな状況を把握しておくことはとても重要です。なぜならば、前者、すなわちリスニング待ったなしの場合は、長期的なトレーニング以上に、その場をやり過ごすための対処療法が決め手になる一方、後者であれば、もう少しゆったり楽しんでいくことが可能だからです。

 

 

1.聞き取れないことが深刻な問題となる場合とその対処法

すでに英語を使って仕事をされている方にとって、聞き取れない今を切り抜けるための対処法は重要です。字幕設定や聞き直しが可能な動画などと違い、英語話者とのリアルタイムでのコミュニケーションでは、相応の工夫が必要です。以下が今すぐできる対処法ですが、ポイントは苦手意識の強い聴覚をカバーするために「視覚」のほうを最大限に使うことです。

1)会議であればアジェンダが決め手

アジェンダとは議論すべき内容をあらかじめ書き並べたものです。これがあれば、会議参加者からどんな発言が出てくるかをある程度予想しておくことも可能です。また自分の発言も多分に用意することで、自分が聞き役となる時間を少しでも短くすることも可能です。またアジェンダ以外でも、当日使う資料を熟読し、適宜情報などを補充しておくことは、英語での当日の議論の理解を助けてくれることでしょう。

2)会議内容の記録

遠隔会議であれば、その会議内容を録画しておき終了後聞き直してもよいでしょう。また、その場合であっても、参加者が会議内容を速やかに共有できるよう、会議記録係を決めておいてもよいでしょう。英語会議の収録動画+英語での会議記録、この2つがあれば、会議の最中も安心して議論に参加できます。

3)聞き返し回数を最小限に抑える工夫

例えば予定されている会議で飛び交うことが予想される専門用語についてはあらかじめ予習しておきます。そうすることで、会議中に専門用語の意味を質問する可能性を抑制できます。一方、自分の中で、聞き返しの最大回数を設定しておくのも一計です。「●回までは質問OK」と自分の中で設定しておけば、それまでは安心して質問ができます。また聞き返しの表現においても、相手が言ったことに対して「Do you mean ~?(あなたがおっしゃったことは~と言う意味ですか?)」のような「確認」であれば、むしろ議論の深堀にもつながり、議論への貢献度も上がります。

他にも英語の会議を乗り切る戦術についてはこちらを参考にしてください。

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2.聞き取れなくても深刻な問題にならない場合とその対処法

仕事目的でなければ、基本的に長期的視点に立ったリスニングトレーニングをお勧めします。TOEICのスコアアップを目指す人も基本的には長期視点で取り組むことをお勧めします。その際、自分のリスニング課題が、純粋にリスニング寄りなのか、非リスニング要素寄りなのかは把握しておきましょう。

いずれにせよ「なかなか聞き取れない自分」と毎回向き合うのはなかなか心理的にもしんどいので、上手な抜け道をたくさん知っておいたほうがよいでしょう。最初に抑えておきたいのは、一発で聞き取れる状態に到達する前に、2-3回聞けば理解できる状態があり、その前には日常的に繰り返して聞いてやっと理解できる状態があるということです。次に抑えておきたいのは、「ひたすら聞く」以外にも様々な聴解力向上の要素があることです。多様な解決法を知っておくことは、これから一つの解決法で行き詰まったときの逃げ道にもなります。

また、リスニング力習得まで時間的猶予があるようであれば、TOEICなどのテスト勉強もお勧めします。自分のリスニング力の成長がスコアではっきりわかるので長期的な学習を続けていくのに適しています。加えて、設問に関わる情報を探す聞き方は、ビジネス英語で不可欠な「必要な情報を取りに行くコミュニケーション」力を鍛えることにもなり、漫然と英語を聞くよりも効果的です。

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3.聞き取れない人の12の特徴とその解決法

仕事で英語リスニング力待ったなしの場合、実力養成を待つ時間がないため、どうしても対処療法的なものでその場をやり過ごすことが多くなります。しかしそれだけではいずれ行き詰まります。以下に、聞き取れない人の特徴に沿って、それぞれの抜本的解決方法を見ていきましょう。最初に断っておきますが、実はこれら12の特徴は、中国語を学習中の私自身にも当てはまるものも多く、私自身が日々実践している解決法も含まれています。言語は違えど、外国語を学ぶ上でかなり普遍性の高い解決法ですので、ぜひご自身の英語リスニング力向上にお役立てください。

1)文字データが少ない人とその解決法

これは中国語学習をしていると痛感します。何かしら中国語を聞く時に私がやるのは、「聞こえてくる音から自分が知っている単語や表現という”文字”を探す」作業です。その結果、知っている単語や表現が多々見つかれば、その中文は「何度も聞けば理解が深まりそうだ」と受け止めます。一方、何度聞いても、そこに既知の単語や表現が拾えないときには、その中文は「聞き取れなかった」と受け止めます。そして、聞き取れない中文の多さにストレスを感じ始めたら、リスニングを一旦中止し、まずは中文を読んで、そこに織り込まれている単語や表現に自分を馴染ませていくことに集中します。このステップを図にするとこうなります。

まずは私自身、中国語初級者という自覚があるので、とにもかくにも文理解から始めます。例文を見て、そこにある単語の発音と意味、その文の主語・述語動詞などの構造を確認します。この第1ステップを割愛して音声だけ聞いたとしても、私の中にはそれらの音から導き出せるだけの文データがまだ十分蓄積されていないので、今は何はともあれ第1ステップから始めるようにしています。文データが十分蓄積されつつある中級以上の学習者であれば、場合によっては第1ステップは割愛してもよいでしょう。次にその文、そして文を構成する単語がどのような発音なのかを確認するため、例文を見ながら音声を聞きます。これが「文音声照合」です。このあと、音声だけ聞いて、音声から文や構成されている単語が浮かぶかどうかを確認し、これで一旦学習のサイクル1回分は完了します。

しかしながら、日を置いて同じ文を聞いてみると、全く何も文字が浮かばないことに愕然とすることがよくあります。そんな時は、焦らず第1ステップに戻ります。また、ここで音読をして、単語や文の定着を図ります。第1ステップでの音読は、自己流でもよしとします。第2ステップでネイティブスピーカーの音源に合わせて音読をします。この段階で、自分の発音を可能な限りネイティブスピーカーの発音に似せることを強く意識します。そのあとで音声だけを聞いてみます。今回は自分でも声を出した分、初回時より鮮明に文字が浮かび、意味も追いかけられるようになっています。

なお、語学においては、「忘れる」というステップも重要なので、一度学習した例文はしばらく寝かせておいて、再度学習するのも効果的です。

2)カタカナ依存度が高い人とその解決法

 外国語の発音を学ぶ際、ざっくりとイメージをつかむためにはカタカナも有効です。特に英語の場合、カタカナでもかなり通じるからです。実際のところ、Chat GPTの音声入力の際、カタカナ発音でもほぼ正確に認識してもらえました。この点について言えば、発信の際には、あまり発音を気にすることなくどんどん話す作戦で行けばよいでしょう。

【Chat GPTがカタカナ発音をどれくらい正確に認識できるか試してみた】

しかしながら、リスニングになると、このカタカナが理解の妨げになることもあります。つまり、積極的に話すことを当座のゴールとするならば、カタカナを含め発音はあまりに気にせずに話す。一方、リスニングを当座のゴールとするときには、一旦カタカナに頼ることを保留し、「聞こえるままに感じ、聞こえるままに話す」ということを強く意識しましょう。例えば、an appleであれば、一番の理想は、これを聞いたまま、つまり、カタカナ化せずに認識し、かつ話すこと。ここが難しければ、「英語に近いカタカナ」すなわち、「アナポー」と認識し話します。一番避けたいのは、聞こえてくる音を完全に無視して「アン・アップル」としてしまうことです。ここでの微妙な匙加減として、「とにもかくにも外国人っぽく話そう」というざっくりとした戦術ではなく、カタカナによる音の先入観を取り払ったうえで、「この部分は、こんな風に聞こえる」というように観察してみましょう。

3) 聞こえない音・変化した音に弱い人とその解決法

日本語は、基本的に母音だけの音節と子音に始まり母音で終わる音節とで構成されています。それに対して、英語は母音だけの音節と子音で終わる音節があるために、音節同士がつながったり、音を消し合ったりします。

図にするとこんな違いがあります。同じ「ストロベリー」でも全ての音節に母音がある日本語の方が母音の数が多く、母音の数が少ない分、英語は日本語よりも早口に聞こえます。

このような日本語と英語の音節の違いの他にも抑えておきたいポイントがあります。それば文の中で単語同士が様々な音の化学変化を起こすということです。詳しくは下の動画で確認してください。音声変化の知識があると、その知識を使って、聞こえてくる音から実際の英単語や英文を推測することも可能となります。

たとえばこんな感じで、落ち着いて英文を推測することができるようになります。

「あれ?突然、キャベジンと言う単語が聞こえてきたぞ?もしかすると、a bag to put cabbage in(キャベツを入れるバッグ)のcabbage とinがつながって、”キャベージ+イン”が”キャベジン”に音声変化したのかもしれないなぁ」

【英語の音声変化をChat GPTから学ぶ】

4)文章読解が苦手な人とその解決法

何らかのコンテンツがなかなか聞き取れないときに一つだけ自分に質問をしてみましょう。それは「この放送は英文字幕があれば何とか理解できそうか?」というものです。その答えとして、「おそらく英文字幕があってもそれの解読には相当難儀しそうだ」であれば、今は文章読解力を鍛えるときととらえましょう。特にリスニング力の向上が長期課題である場合には、当面リーディングに特化してみましょう。この図のように、読める力はいずれ聞き取る力につながります。またリーディングは将来のアウトプットのベースにもなります。「受験英語の延長で英文読解を続けていてもアウトプット力やリスニング力がなければ、”使える英語”とは言えないのではないか?」という疑問が浮かんだら、この図を見て、目前の英文読解に取り組みなおしましょう。

【英語4技能関係図】

5) 長文免疫があまりない人とその解決法

私自身、長い英語学習歴の中で、リスニングの苦手意識の根底には長文リーディングの苦手意識があることを感じました。長文を音声だけを聞く際、なんらかのメッセージとして頭の中に残ることなく、音が次々と頭の中を横切っていくような感覚がありました。この感覚を乗り越え、英語の音が、メッセージの流れとして聞こえるようになるためには、以下のようなステップが必要です。

●STEP1: 長文を黙読しながら、メッセージの流れをイメージする

●STEP2: 英文に音声を重ねて、活字の流れと音声の流れを同期させる

●STEP3: 音声だけを聞いて、メッセージの流れをイメージする

●STEP4: メッセージの流れを自分の身体にすり込んでいくイメージで音読する

長文リスニングで盲点となりがちなのは、STEP1の黙読、そしてSTEP4の音読です。長文を聞き取れる前に必要なのが長文を読めるステージです。この逆、すなわち読解の時点で非常に難儀をする英語を音声だけで聞いたらなおさら理解は難しいことは容易に想像できるでしょう。

また、音読を重ねますと、当初は「はじめて聞く英語」だったものが「馴染みのある英語」に変わっていき、これが「聴きやすさ」につながります。聞く内容が実践的なものであれば、「聞き取れるようになる」という目標を通り越して、「話せるようになる」という目標を設定し、何度も音読してみましょう。こうすることで、「さすがにこれだけの長文は完璧に暗唱まではできないけれど、少なくとも聞き取れるようにはなっていた」という変化を体験することができます。

この「声に出してみたくなるコンテンツ」「則実践につながるコンテンツ」としてビジネスパーソンにお勧めしたい教材が「英語でビジネスコミュニケーション実践編~プレゼンテーション・ネゴシエーション」です。こちらの教材は、日本語スクリプトを読んでいただくとわかるのですが、日本語でも知っておきたい、筋道がわかりやすいプレゼンの進め方、デリケートな利害調整の運び方など、ビジネススキルの副読本としてもお勧めです。もちろんそれらを英語で言えて、かつ、長文のリスニング力が鍛えられたら、一石二鳥ですね。

【リスニングとスピーキング両方を鍛えたいビジネスパーソンにお勧めの教材】

6) 集中力が持続しにくい人とその解決法

リスニング力を支える要素の中でもとりわけ重要な位置を占めるのが「集中力」です。集中力を無理なく着実に鍛えていくために、まずは集中力には2種類あることを抑え、双方のバランスを考えながらトレーニングをしていきましょう。

 

一つ目は意識をそこに向けさえすればほぼ理解できる英語に対する集中力です。たとえばTOEICパート2の設問25問のスクリプトを全て暗記したとしましょう。これであれば全25問聞き続けられるように思われます。しかし実際に聞いてみると、途中で別の事に意識が向かい、空白の時間が生じることがよくあります。そうです。たとえ暗記してしまった英文ですら数分聞き続けることは決して簡単ではないのです。しかし意識さえ向ければ理解できるのですから、ノンストップ5問⇒ノンストップ10問⇒ノンストップ25問、あるいは、ノンストップ5分⇒ノンストップ10分⇒ノンストップ20分、というように、意識を向ける時間を少しづつ伸ばしていきましょう。

二つ目は意識をそこに向けてもなかなか理解できない英語に対する集中力です。この場合、理解度が50%以上であれば、飽きるまで聞き、「これ以上聞いても理解度は変わりそうにない」という時点でスクリプトで確認します。一方理解度が50%にも満たない内容であれば、速やかに字幕やスクリプトで確認しましょう。なお、スクリプトや字幕がないコンテンツについては、Chat GPTを使った音声のスクリプト化をお勧めします。

【Chat GPTを使った音声のスクリプト化】

・STEP1: PC上でChat GPTを操作する場合には、音声はスマホなどで用意する。

・STEP2: Chat GPTのPlaygroundを開き、マイクボタンを押す。

・STEP3: Start recordingを押し、スクリプト化したい音声を流す。

・STEP4: Stop recordingを押すと、音声をスクリプト化したものが画面に出てくる。

【Chat GPTを使って音声を文字化した解説動画(中国語編)】

7) 背景知識や専門用語(英単語)が不足している人とその解決法

自分が精通しているコンテンツを英語で聞くと、英語云々以前に、背景知識によってそのコンテンツはほぼわかってしまうということがあります。逆に背景知識がほとんどないコンテンツを聞くと、「英語はわかるけど言わんとしていることがわからない」という状態になります。たとえば、私の場合、海外のプログラミング講義動画が理解できなかった際、講義スクリプトを読んでも全く理解できませんでした。これは英語力云々とは別の問題で、私自身、その講義内容に関する知識がゼロだったことが一番の要因だったと思います。こうしたことから、何か全くわからない英語の動画があったら、その要因が英語そのものにあるのか、背景知識の不足にあるのか、あるいはその両方にあるのか、確認してみることをお勧めします。そしてその要因として背景知識の不足が大きいと判断したら、しばらくは英語の動画から離れ、関連する背景知識の拡充に努めるようにしましょう。

背景知識の拡充は日本語ベースで構いません。十分に背景知識を仕込んだあとは、それらに関連する専門英単語を学んでいきましょう。参考までに、TOEFL(北米留学目的の英語テスト)向け語彙動画で恐竜について扱ったものを紹介しておきます。恐竜に関する英語の動画を音声で楽しむためには、一定の背景知識と専門用語が不可欠です。いきなり原書や動画に入る前にまずは「恐竜」に関する知識、恐竜に関する語彙を拡充しておきましょう。

【恐竜についての語彙動画】

8)リスニング自体を面倒に感じる人とその解決法

面倒くさく感じることは結局続きません。私の場合、音読が非常に面倒くさいです。そこで音読の効能を整理し、音読以外のことで代替できないか考えてみました。例えば音読は表現の暗記を促しますが、これは反復リスニングで代替できます。また英語の抑揚や区切り方などの体得もリスニングで代替できます。音読嫌いの私は、8割以上をリーディングやリスニングに宛がい、最後の仕上げとして時々取り入れるようにしています。同じようなことがリスニングについても言えます。リスニングが面倒であれば、その時間はぜひともリーディングに宛がいましょう。当面の間、以下の図の「読み中心」の部分に特化しましょう。

同じ内容を何度も聞いていると、「これ以上聞いてもあまり実力は上がらない」という感覚になることがあります。つまり、わかるところは何度聞いてもわかるけれど、そこには何ら成長は感じられません。一方、わからないところを聞いてばかりいても同様に成長は感じられません。やるべきことは「聞いてわからないところ」は速やかに英文をチェックしたり、「読んで則わかる英文」を増やすことに専念する期間を設け、「読んで則わかる英文」がある程度蓄積された段階で再度リスニングを取り入れるとよいでしょう。これは実際に私自身が中国語学習で行っていることでもあります。

【音を入れないリスニングトレーニングもある!?】

9) ノンバーバル型の人とその解決法

ノンバーバル型とは、言語(バーバル)よりも非言語(ノンバーバル)要素での表現やコミュニケーションのことです。ところが英語は言語(バーバル)的領域での表現や理解のイメージが強いことや、元々英語教育者自身が言語型意思疎通を得意とするタイプが多いことなどから、ノンバーバル領域は見落とされがちです。

私自身、TOEICのような完全バーバル型テストのリスニングはかなり苦手である一方、生身の人間との一対一のコミュニケーションではほとんど不便を感じません。それは相手の英語を完全に理解できているということではなく、顏の表情や会話の空気の方を重視しているために、一言一句わからなくても素通りしてしまうからなのだと思います。また、言葉で説明するより現物を使ったり、動作を見せた方が手っ取り早く感じることも多々あります。私自身もかなりノンバーバル型に寄ったところがあるのかもしれません。

いずれにせよ、自分がノンバーバル寄りだと思う節があるのであれば、その領域を伸ばし、リスニングはそれに付随するオマケぐらいで捉えておくと良いと思います。余談ですが、スポーツ選手へのインタビューなどは、なんとなく話す内容は似通っているので、一言一句わからなくても、「あそこが惜しかったんだなぁ」とか「今回はうまくいったんだなぁ」とか、満足不満足といったざっくりしたところは表情や試合結果などからある程度推測可能です。

「英語リスニングのゴール」設定には従来の「言語的理解」だけでなく、「雰囲気的理解」や「なんとなくの理解」も加えておきましょう。

10)演繹タイプとその解決法

演繹法はルールや法則に個々の事例を当てはめて結果を導き出す方法、帰納法は個々の事例から共通点を導きだし、一般論となる結論を導く方法です。先にルールを学んでから多くの例文に当たる英文法学習は演繹法のイメージです。数学も最初にしっかりと方程式やら解法を抑えてから、たくさんの問題演習に進むのでやはり演繹法に近いです。やみくもに問題を解く前に、しっかりと法則を抑えておくのが演繹的学習法の決め手です。

一方リスニングは、「こういうルールを知っていれば聞き取れる」というものでもなく、基本的に膨大な音声と文字のデータに当たっていきながら、多少ルールめいたものが見つかる帰納法のイメージです。つまり触れる英文データ量が決め手です。ここをしっかりわきまえ、好きなコンテンツにたくさん触れながらリスニング力を鍛えていきましょう。もちろんその際、「数回聞けば理解できそうな状態」で聞くことが基本ですから、「この先何回聞いても全く分からない状態」のときは速やかに英文解読にシフトしましょう。

11) 質問に不慣れな人とその解決法

英会話において、自分の方から質問をしないと、相手ばかりが話すことになるため、リスニングの負担がさらに重くなります。そうしますと、英語が苦手⇒だから話さない⇒だから相手ばかり話す⇒聞き取れない⇒苦手意識の増大、という悪循環に陥ってしまいます。ここに質問ネタを仕込むことで、この流れを変えていきましょう。会議や会話での質問を自動翻訳などの力を借りて事前に数点準備しましょう。自分の質問に関する回答であれば、ある程度内容は予測しやすいはずです。また一方的に相手の話を聞かされることに比べると、自分から情報を取りに行くその姿勢は、仕事的にもコミュニケーション的にも相手には好印象を与えるはずです。

12)日英問わず、そもそも聞こえにくい人とその解決法

言語を問わず、そもそも聞き取りが苦手という場合、「そんな自分が困らない状況こそがみんなをハッピーにする」という発想で取り組みましょう。例えば、日本語でも一回きりの指示だけで手順を覚えることが難しい人がいるとします。実は同じように困っている人がいる可能性を考えれば、簡単な手順書を作っておけば、作業者全員がその恩恵を受けることになります。英語も同様です。もし自分がグループ内でもっとも英語力が低いとしたら、やはり「そんな自分が困らないような英語こそ、みんなも理解できる英語」という発想につながります。一例として、「数字は口頭だけでは誤解のリスクがあるので、かならず書き出すか、ビジュアル資料にすること」のようなルールを提案すれば、英語リスニング力初級者のみならず上級者もきっと助かると思います。

 

4. まとめ

私自身こう思う時があります。

「何十年も英語を学習してきて、いまだにこんなに聞き取れないのは、やはり学習を始めた年齢が遅すぎたからなんだろうか?もしも感受性豊かな中学生、おそくとも高校生ぐらいのときに留学などして、英語漬けの環境で過ごしていたら、大人になってこれほどまでリスニングで悩まなかったのではないか?」

一方で環境的ハンディがあるからこそ、様々な「リスニング抜け道探知センサー」が鍛えられる、そう考えることもできますす。昨今AIツールを使い倒すことは基本として、リスニング力不足を補うために各方面から背景知識を増やしたり、原書リーディングを通して長文免疫を鍛えることなども「リスニング逃げ道探知センサー」によって得られた私だけのギフトなのかもしれません。特に原書リーディングは、リスニングを支えるリーディング力の向上とリスニングの際に必要な背景知識が拡充でき、一石二鳥のアプローチだと思います。しかも昨今ではChat GPTなどをうまく使えば、100%自力でやるしんどさもかなり緩和されます。

【Chat GPTに助けてもらう原書リーディング】

この記事を読む方におかれましても、成人になってから英語学習を始めようとしている方が多いと思います。今回の記事をきっかけとして、自分らしい逃げ道探知センサーを磨きながら、これからも英語学習を楽しんでもらえたらうれしいです。

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