Chat GPTも動員!TOEICパート7(読解問題)の対策20選~グローバル人材育成(語学)のヒント

TOEICパート7を制する者はTOEIC全体を制す!

そう言いたくなるくらい一般的な英語学習者にとってパート7(読解問題)のハードルは高いです。ここを超えるために多読をはじめとする「ひたすら英語をさばいていく」という方略がまず浮かびます。つまり「学習量」に訴えるアプローチですね。ただし、あくまでも全体的な戦略観を持ったうえで、量の世界を泳いでいくことが肝要です。そのためには、どんな学習法であれ、「やっていることが空回りしている感」がないよう、ここで紹介する「盲点と対策20選」から自分にフィットした学習法を見つけましょう。

 

 

1.レベルによって違う長文制覇の道筋

1) 全レベル共通:学習に行き詰まったときに使う3つの視点(盲点と対策1)

因果律・順次戦略・累積戦略は、実は普段私たちが日本語で仕事を遂行する際に当たり前のようにやっていることです。しかしながら、英語学習になると、こうした当たり前のことを忘れてしまいがちです。細かな戦術に入る前に、まずはリーディングを含め、英語学習を合理的に進めていく上で有効な因果律・順次戦略・累積戦略について見ていきましょう。

 

《因果律》

因果律とは、何かができないことには必ず原因があるとする考え方です。これは現代人の思考習慣にすっかり入り込んでいると思います。たとえば、「英語リーディング学習をついつい怠けがち」という問題があるとします。この原因を突き詰めていくと、「英文を読むのがそもそも苦痛だからやらない」→「苦痛な理由は、英文を読んでも知らない単語が多すぎるから」→「だからと言って単語学習をしようという気にならないのは、あまりにも知らない単語が多すぎてやる気をなくすから」など、最終的には語彙の問題が浮上することもあるでしょう。これに対して、「では単語学習は身近なカタカナ用語からはじめてみよう」とか「仕事で使う業界用語からはじめてみよう」というような具体策が見つかります。

【すでに知っているカタカナ用語で単語学習のハードルを下げる】

《順次戦略》

順次戦略は、「AをやったらBをやり、Bが終わったらCへ進む」というような、一つ一つステップを登っていくような戦略です。ビジネス書を読む時であれ、英語の授業を受ける時であれ、学ぶ側が「この通りやれば自分にもできそう」と思う時、この順次戦略に則って実践の手順、学習の手順が明解に示されているからなのかもしれません。

《累積戦略》

ビジネス書であれ英語教本であれ、先述の順次戦略とは違う累積戦略で説明されることもあります。これは俗に、「とにかくがんばれ」「とにかく学習量が決め手」と言われる類のアプローチです。私自身で言いますと、講義前半は順次戦略で道筋を見せつつも、中盤戦からは学習量を確保してもらうために累積戦略寄りに徐々に移行するような授業を展開しています。

そうなんです。ビジネスであれ英語学習であれ、論理的に整然とした順次戦略だけではなかなか成果は得られにくく、手当たり次第あれもこれもとにかくやってみる、そしてとにかく続ける、という累積戦略は非常に重要なのです。

以上を動画にまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

【学習に行き詰まったら、因果律・順次戦略・累積戦略を思い出そう】

 

2)  初中級レベルでまずやるべきこと(盲点と対策2)

AさんとBさんがいるとします。

Aさん:文法を一通り学習済。英文を読む際、感覚的理解や状況的理解だけでなく、文法的な構造解読も適宜使う。

Bさん:文法を全く学習していない。いつも感覚や状況などから文意を推測。

文章理解において、内容が常識から理解できるようなものや会話に登場するシンプルな短文などであれば、AさんとBさんとの理解にあまり違いはありません。しかし、長文や複雑な構造の英文になると、Aさんの方が圧倒的に優位です。つまり一つ目の盲点は、文解読の前提となる基本文法です。あくまでも基本文法ですから、現時点で抑えておくべきことは以下の4つだけです。

❶文は少なくとも主語と述語動詞から成り立っている。

❷述語動詞には一般動詞(行為を表す)とbe動詞(=を表す)がある。

❸主語、述語動詞、目的語、補語、は文の要素を表す。

❹「品詞」とは単語の種類のことで、名詞、動詞、形容詞、副詞、助動詞、前置詞、接続詞などいろいろある。

以上を図にまとめてみます。まずは一般動詞(行為を表す)を述語動詞とする英文から。

【文中の”働き”と”品詞”の関係:一般動詞編】

 

次にbe動詞(=)を述語動詞とする英文です。

【文中の”働き”と”品詞”の関係:be動詞編】

文をタンスに例えると、ひきだしが文の要素を示す主語、述語動詞、目的語、補語で、それぞれのひきだしの中身が品詞と考えられますね。

 

なお、現時点で上記の決まりごとを完璧に覚える必要はありません。実際に理解したい英文に遭遇し、かつ、「なんとなく」とか「文脈」などから意味を理解するのが難しいときにはじめて、上記のような決まりごとを使ってみれば十分です。今は上記の図を見なあら、一件アルファベットが無造作に並んでいるように見える英文にもこのような構造があるということを感覚に馴染ませておきましょう。

3)上級レベルでまずやるべきこと(盲点と対策3)

これから大量の長文に当たる上で、その長文の構成要素として多用される関係詞を復習しておきましょう。実は関係詞は初歩的な❶から高難度の❹のように、難易度には幅があります。

❶「the book which he chose(彼が選んだ本)」のように一つの関係詞を使う場合 

❷「the book he chose(彼が選んだ本)」のように省略されている場合 

❸ 「the place in which she lives」「the place where she lives」(彼女が住んでいる所)のように「前置詞+関係代名詞」と「関係副詞」どちらでも表現できる場合 

❹「two daughters, both of whom live in Sapporo(二人の娘、ちなみに二人とも札幌在住)」のような合わせ技 

以下の動画は、その中でも難易度が最も高い❹について取り上げています。

【関係詞は長文リーディングの関所】

なお、個人的体感としては、上級者の場合、おそらく主語・述語動詞・目的語・補語という文の基本要素はすでに抑えていると思うので、長文の読解をスムーズにさせるための関係詞と、自由自在な表現力の源となる準動詞、この二つさえ復習しておけば、あとは実践でたくさん長文に当たっていけば十分なように思います。逆に言えば私自身を含め、枝葉末節の英文法をこれ以上学ぶことよりも、長文というフィールドで、自分の英語力を「使う」ことに時間をあてがうことをお勧めします。

【表現の幅が広がる準動詞】

4)学生・新入社員がやるべきこと(盲点と対策4)

TOEICに挑戦する学生や新入社員は多いと思いますが、制限時間内に大量の英文処理が求められるTOEICは、長文読解力を磨くのに適しています。英語を使う業務は各自が携わる業種や職種により違うとは思いますが、Eメールやネット上の情報収集をベースとしたリーディング力が必要とされる側面が大きいように思います。私自身、外資系企業でプロダクトマネジャー職にあったとき、8割近くがメールや文書でのやり取りで、残り2割が海外出張時の英会話力であったように記憶しています。この比率は、昨今のオンライン会議などもあり、英会話の比率はもう少し高くなっているかもしれませんが、その会議の準備段階でやはり関連資料の事前読みは欠かせないことでしょう。

実際のところ、学生や新入社員の段階では、実践的な英語力発揮の場はそれほどは多くないと思われますので、以下の関連記事を参考に、まずは地道に長文リーディング力を鍛えていきましょう。

 

*関連記事

 

5)ビジネスパーソンがやるべきこと(盲点と対策5)

ビジネスパーソンの強みは何といっても、それぞれの専門性にあります。長文リーディングに不可欠な語彙力も、自分の本業に関連した業界用語や時事用語から入っていけば、常時「当事者感(英語学習が他人事ではなく、自分の仕事力に貢献するような感覚)」を持って単語学習に取り組めると思います。業界用語・時事用語から入る単語学習のメリットとしては以下がのようなことが考えられます。

❶そもそも単語学習をしているという自覚がないので、気楽に取り組める

❷日々目まぐるしく変わるテクノロジーへのキャッチアップを通じて単語学習ができるので一石二鳥 

❸業界用語・時事用語を観察すると、一般的によく使われる単語や誰もが知っているカタカナの寄せ集めであることも多いため、単語学習への心理的ハードルが下がる

❹DXとGXのように、「知ってはいるが、他人に説明できるほどまでは深く理解していない」という現代用語を掘り下げることで、時代を感じるセンサーが磨かれる

以下は2分程度で学べるビジネス系英単語の動画です。今回はDXとGXを取り上げています。

【業界用語・時事用語から入る単語学習】

「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」とはよく言われますが、これだけ情報量が多い時代になりますと、単語ぐらいは自分で調べておきたいものです。というのもカタカナビジネス用語の場合、普段の仕事で無意識的に使われているものも多いため、果たして周囲の人たちが正確な知識を持っているかどうかもわからないからです。むしろ自分なりに用語知識を持ったうえで、実際のコミュニケーション時に、関わる人たちとの【意味的認識のズレ】がないか確認し、適宜調整していくことがこれからの時代は必要でしょう。今回はその一例として【スループット】を挙げてみます。使われる状況や業界で微妙にニュアンスが違うのも、こうした現代用語の特徴の一つですね。ちなみに恥ずかしながら私自身このカタカナ用語を知ったのはごく最近(2022年あたり?)です💦。

【いまさら人に聞けない英単語例:スループット】

2.TOEICパート7のパフォーマンス向上に使える他のパート

1)  パート4・3(盲点と対策6)

いよいよTOEIC長文への具体的な対策へと進んでいきます。パート7の問題は❶本文❷質問❸回答選択肢の3点で構成されています。この❷質問文については、「読んだ瞬間質問文の意味がわかる」ことがパート7対策の出発点です。そもそも質問文の意味がわからなければ正解を見つけることができませんし、質問文を読むのが遅い場合には回答に時間がかかり過ぎてしまいます。ということで、お手元にあるTOEIC模試のパート7の質問文を見て瞬時(1-2秒)に意味がわかるかどうかチェックしてみましょう。また、パート7の質問文の速読トレーニングとして、パート3と4の質問文で速読トレーニングを行うのも一計です。以下にパート7の質問文速読トレーニングの手順を記しておきます。

《パート7質問文速読トレーニング》

・STEP1: パート7の質問文をそれぞれ見た瞬間(1-2秒程度)で理解できるか確認し、瞬間理解ができなかった質問は和訳で意味を確認する。

・STEP2: パート3とパート4の質問文をそれぞれ見た瞬間(1-2秒程度)で理解できるか確認し、瞬間理解ができなかった質問は和訳で意味を確認する。

ところでパート7の本文の速読スピードはどれくらいなのでしょうか?その目安となるのがパート4の音声スピードです。まずはパート4のスクリプトを熟読(英文の構造の確認と意味の確認)しておきます。次にパート4のスクリプトを見ながら放送を聞いて、まずは放送と同じスピードで黙読ができるかどうかを確認します。音声に合わせた黙読を繰り返し、最終的には、「黙読スピードが放送スピードをやや上回る」ところでこのトレーニングは完了です。

ところで読解スピードを測る単位にはWPM(word per minute=1分当たりの単語数)というものがあり、TOEICリーディング問題で求められる読解スピードについては、150WPMや160WPMなど諸説あります。例えば単語数が300語の英文を150WPMで読もうとするなら、2分が目安となります。ただこの指標を使うためには、速読トレーニングを行う英文の単語数を数える必要があります。その点、パート4のスクリプトと音声を使えば、この手間は不要です。ちなみにTOEICのリスニングのスピードは160WPMや180WMPなど諸説がありますが、これに合わせて黙読トレーニングをしておけば、少なくともリーディングに必要な150~160WMPは超えられそうですね。ちなみに一般のネイティブスピーカーの会話速度は200~220wpmあたりらしいので、TOEICはリアルな英会話よりもやや遅いイメージですね。

【リスニングのスピードを速読の目安に使う~TEDで速読トレーニング】

2)パート5(盲点と対策7)

長文を素早くかつ正確に読むためには、短文ベースでの読解精度と速度を鍛えておく必要があります。つまりパート5の問題文を使って読解精度と速度を磨いておくこともパート7の本文読解精度と速度につながるということです、パート7において十分な回答時間を確保するためにも、パート5の回答速度を上げておきましょう。

3)パート6(盲点と対策8)

パート5同様に、パート6の問題文の読解精度と速度も磨いておきましょう。パート5と6とを合わせて20分ぐらいで回答するのが理想です。そうすればパート7の回答に55分充当させられます。

パート5も6も、文法力や語彙力を問う設問が多いため、すでに持っている知識が勝負ということになります。つまり、試験当日にどれだけ問題文とにらめっこしても、もとから持っていない知識が問われている場合、正解は出せません。一方、パート7は、本文の中に必ず正解があるので、問題文を眺める時間は少しでも多く確保しておく必要があります。こうした問題の性質の違いから、「いくら考えても、手持ちの文法力と語彙力で答えられないパート5や6より、考えれば考えるほど回答精度が上がっていくパート7に時間をあてがう」という作戦が有効なのです。

3.模試だけでここまで鍛えられるパート7

1)質問の勘所(盲点と対策9)

模試を使ってパート7の演習を行う際、正解の手がかりとなる情報の場所が比較的見つけやすい質問があることを抑えておきましょう。

●主旨を尋ねる質問:Why did Mr.Brown send the letter to Ms. Kitagawa? (なぜブラウンさんは北川さんに手紙を送ったのですか?)やWhat is the purpose of the e-mail?(この電子メールの目的は何ですか?)など、ビジネスレターなどで書き手の主旨や目的を尋ねられていれば、この情報は本文の前半、遅くとも中盤までに書かれていると判断できます。

●NOTを使って、「含まれていないもの」を尋ねる質問:What will NOT be given to honor Ms. Thomas? (トーマスさんを賞賛するために贈呈されないものはどれですか?)のように、「4択のうち本文で述べられていないものを一つ尋ねる」質問は、先に4択を読んで、本文に述べられているものを3つ探しあて、余った選択肢が正解となります。なお、3つの「述べられている」情報は一家所に固まっていることよりも、文書全体に散在していることの方が多いように思います。一か所に情報が集まっていたら問題としては簡単すぎてしまうからなのかもしれません。

●Who/Where/Whenなど具体的な情報を尋ねる質問:ビジネスレターでは中核をなす情報なので、基本は本文中盤に集中していると考えればよいでしょう。

●数字情報を尋ねる質問:For how many years has Ms.Tomase worked at ~?(トーマスさんは~に何年働いてきましたか?)のように数字情報を尋ねる質問については、数字が書かれてある箇所を優先的に探しましょう。ただし、同じ10年であっても、10 years, ten years,  a decadeなど表現は一通りではないので要注意です。

2)4択の勘所(盲点と対策10)

4択は、(A)Monday  (B) Thursday ~ のように1から2語短いものから、(A)He thinks that the work will be more expensive than expected.(彼はその仕事は予想よりも費用がかかると考えている)のように長い文である場合があります。この場合、文としてきっちりと訳せるように全文を読むのではなく、「(A)more expensive」のように主要メッセージである(金額が高そうだ)に直結した単語やフレーズだけを読むようにして回答時間をかけすぎないように気をつけましょう。これに慣れるためには、日頃から長い四択を短いフレーズに短縮させる練習をしておくとよいでしょう。

3)本文の勘所:ビジネス文書(盲点と対策11 )

ビジネス文書の特徴の一つは、最終的に読み手に何らかの行動を要求していることです。要求は「理解してほしい」「協力してほしい」という緩いものから、「~日までに必ず~してください」という明確な命令まで多様です。そしてその主旨はだいたい文書前半に書かれることが多いのですから、だいたい前半まで読めば、話の概要は把握できてしまいます。また、文表現として、「Please~」「I hope~」「If you~、we will~」のような表現に、読み手への要求が反映されていることが多いので、文全体を俯瞰して、そうした依頼表現や希望表現を素早く探す練習も有効です。このようにしかるべき情報や表現を探す力は、語学力や語彙力などとは別次元で、それだけを探すベタな練習を続けていくうちに養われます。

4)本文の勘所:記事(盲点と対策12)

ビジネス書の目的が読み手に何らかの行動を促すことであるのに対して、記事の目的は事実の伝達にあります。ということは、冒頭から最終行まで全てしっかり読む必要があります。つまり、ビジネス文書のように読み飛ばせる部分があまりないのが特徴です。この後紹介するスラッシュリーディングやコンテントワードリーディングで、本文をくまなく正確にかつ素早く読むトレーニングをしましょう。

5)語彙問題の勘所(盲点と対策13)

パート7に登場する語彙問題の解き方は2ステップです。第一ステップでは、まずは質問と4択を読み、自分がすでに持っている辞書的意味と照合し、本文は読まずに一旦そこだけで正解を仮確定しておきます。第二ステップでは、本文中の該当箇所を読んで正解を確定します。ここで気を付けたいのが、第一ステップで仮確定した正解が常に第二ステップでも正解であるとは限らないことです。つまり、単語の意味は文脈次第で変わりうるということです。単語の意味はいつも固定されているわけではなく、文脈でも変わりますし、業界が違うだけでも意味が全く違うものになったりします。以下のような動画も活用して、多義語に対する免疫を付けておきましょう。

【業界で全く意味が変わる多義語:toleranceの場合】

6)文章挿入問題の勘所(盲点と対策14)

パート7では、設問に提示されてある一文が入るべき場所を本文中の空欄から選ぶ「文章挿入問題」が出題されます。文書全体を流れる論理の流れさえ理解できていれば必ず正解が出せる問題です。パート7から比較的長めの文書を選び、その文書の論理的な流れを観察してみましょう。そうなんです、パート7対策って、ひたすら問題を解くだけではなくて、回答済の文書を再度じっくり観察することも含まれるのです。もちろん漫然と読み直すのではなく、毎回、読む目的を明確にすることをお忘れなく。次の項目からはは、その回答済の文書を使った各種読解トレーニングを紹介していきます。

7)スラッシュリーディング(盲点と対策15)

英文にスラッシュ(斜線)を引いて、そのスラッシュ単位で意味を確認して読むトレーニング法です。その際、ゆっくりと読んで構いませんが、あくまでも斜線単位で前進することを強く意識して、決して読み戻さないようにしましょう。スラッシュリーディングの目的は、英語の語順に沿って読むことで、読むスピードを上げていくことにありますので。詳細はこちらの動画を参考にしてください。

【スラッシュリーディング&リスニング実践動画】

8)コンテントワードリーディング(盲点と対策16)

例えば100語で構成されている長文を読む際に、100語すべてをしっかり読もうとする場合と、大意把握上重要な単語50語だけを拾い読みする場合とでは、後者の方が圧倒的に読解時間が短くなります。この「大意把握上重要な単語」をコンテントワード(内容語)と呼びます。コンテントワードには以下のようなものがあります。

【コンテントワードとは?】

【コンテントワードリーディング&リスニング実践動画】

どれがコンテントワードでどれがそうでないかの判断が難しい場合、まずはパート7の模試の和訳を使って、日本語ベースでのコンテントワードの感覚を育てていきましょう。日本語のコンテントワードは、漢字、カタカナ、数字、「~ではない」のような否定を表すひらなが、この4点を抑えておくとよいでしょう。

10)予測読み(盲点と対策17)

リーディングにおいて、最初の一文から次の展開が予測できるようになると、読むのが楽になり、かつ、読む速度も上がります。パート7の本文の一文目を読む際、それ以降の英文は紙などで隠すか、読まないようにします。その一文目から次の文の内容を予測したうえで2文目を読み、同様に3文目へと進んでいきます。なお段落が変わったときには、そこで違う話題に切り替わっている可能性を予測して次の段落に進みましょう。詳細は以下の動画を参考にしてください。

【予測力鍛錬(リーディング&リスニング)の実践動画】

4.模試や対策本以外の「長文免疫作る」教材

1)洋書の選び方:ビジネス書編(盲点と対策18)

TOEICパート7が先か?それとも洋書リーディングが先か?特に読みたい本がない場合には、TOEICパート7でリーディング学習をしておきましょう。将来具体的に読みたい書物と出会えた時に、パート7での学習の成果をきっと味わうことができます。以下に洋書の選び方(ビジネス書編)の動画をアップしておきますので参考にしてください。

【洋書の選び方:ビジネス書編】

2)洋書の選び方;小説(盲点と対策19)

小説は当然ながらTOEICパート7と比較できないほどのボリュームです。したがって大好きな小説を多読することは、パート7の読解体力を養うことにもなります。小説を楽しみながら、気が付くとパート7の長文読解体力ができあがっていくのですから、ある意味理想的なアプローチだと思います。小説は途中で読むのを止めると、話の流れがわからなくなり、最初から読み直さなければならなくなるデメリットがあります。その点、すでに筋書きを知っている日本の小説の英語版を選べば、そういう問題はなくなりますね。

【洋書の選び方:小説編】

3)ビジネスコンテンツと長文、Wで免疫を作る(盲点と対策20)

TOEICパート7が目指すところは、「ビジネスシチュエーションで遭遇する長文読解力」にあります。この「ビジネスシチュエーション」と「長文」という2つの要素を満たす教材として、英検通信講座の「英語でビジネスコミュニケーション実践編:プレゼンテーション・ネゴシエーション」をご紹介します。

本ブログ著者である私が執筆・監修した教材です。私自身、ネイティブスピーカーが発する「高速長文理解」にいつも課題を感じていたため、本教材にも長文をたくさん盛り込んであります。リスニングとスピーキングをメインとした教材ではありますが、スクリプトは長文リーディング教材として十分に使えますし、実際私自身が、自主トレ教材として日々様々な角度で使っています。

TOEICパート7対策はざっくりと分けると、「模試を中心としたテスト対策→ビジネス英語」という流れと、「ビジネス英語→TOEICパート7」という2つ流れがあります。本教材は後者を想定しています。テストというアプローチそのものに苦手意識がある方であれば、ガチのテスト対策は一旦脇に置いて、まずはパート7の解答力の基盤となる「ビジネスコンテンツ×長文」の免疫を作っておくのもよいでしょう。

【英語でビジネスコミュニケーション実践編:プレゼンテーション・ネゴシエーション(ガイダンス動画)】

【英語でビジネスコミュニケーション実践編:プレゼンテーション・ネゴシエーション(詳細情報)】

 

5.まとめ

以上、TOEICパート7(長文読解)への対策について見てきました。たった一つのパートだけでもこれだけの方略があるのですから、近く受験する予定がない場合には、どこか苦手なパートだけに特化して徹底学習するのもよいかもしれません。とりわけパート7を通して長文が速く正確に読めるようになれば、これはそのまま長文聴解のパート4のパフォーマンスにも良い影響を与えることでしょう。パート7という最もボリューム感のあるパートへの苦手意識が緩和されれば、リーディングパート全体の負担感もだいぶ軽減されることでしょう。

私自身、普段はTOEICではなく、洋書を読むことが多いのですが、TOEICパート7で培った長文体力の恩恵をひしひしと感じます。このようにTOEIC学習の恩恵は、単にTOEICのスコアだけでなく、将来、TOEICを卒業して、読みたいものを読み、視聴したいものを視聴する、あるいはビジネス界で英語を駆使する際に改めて味わえるものなのかもしれません。

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