英語の資格 10選を徹底比較!就職・転職を有利に、スキルアップを効率的に!

英語の資格と言えば、スコアや級を取得することに意識が向かいがちですが、違った使い方もあります。例えば、様々な英語資格についてネットなどで調べて、英語資格についてソムリエっぽく語れるようになること。また、TOEICや英検などは、結果としてのスコアや取得級とは別に、その問題集を使って日々トレーニングすること自体に価値があります。実際に受験するかどうかは後々考えることとして、まずは日々の英語学習に使えそうな資格試験を探してみてはどうでしょうか?

 

 

1.多忙を理由に英語資格取得をあきらめていませんか?

「人生における英語の優先順位はおおよそいつでも低い」

これが大方の働く人の英語リアルだと思います。ここに一石を投じるのが英語資格。まずは決して安いとは言えない受験料。これに投資しただけでも、経済的理由から英語学習は既定路線に入っていくことができます。私自身の体験として、TOEICを申し込んだときに真っ先に思うのが、「この受験料をどぶには捨てたくない」ということです。こう考えると受験料は英語学習者の「覚悟のほどを金額で確認させる」実によくできたモチベーション材料なのかもしれません。

ひとたび何らかの英語資格を受けようと思ったら、真っ先に過去問や模試を準備することになります。それらをパラパラめくってみると、そのテストがどういうスキルを試そうとしているかがわかります。そこで、「まずは受験しよう」となるのか、「ハードルが高そうだから、しかるべき勉強してから、このテストに挑戦しよう」と自分で方針を決めることになります。ざっくり言うと、基礎語彙や基礎文法が固まっていない状態であれば、どんな資格であれ、しばらくは通常の英語学習を行うことをお勧めします。たとえば1-2か月程度自分なりに学習したあとで、模試を解答してみます。その手ごたえとして、制限時間は設けず、ゆっくりと解答する限りは6割以上は正解を出せそうなら、模試を使った学習に進むタイミングです。たっぷり時間をかけても正解が5割未満であれば、語彙や文法学習をもう少し続けた方がよいかもしれません。だいたいテスト対策が上手くいかない事例は、この模試に対する自分の消化不良感に何ら手当をせずに、ひたすら模試解答だけをした場合が多いです。

こうしたことを知ると、英語資格取得のカギは、時間的余裕の有無よりも、効果的な努力配分であることがお判りいただけるかと思います。英語資格は、言い換えれば英語のテストであり、テストである以上、必ずテスト対策の道はあります。ここをしっかり踏まえた上、様々な資格について以下見ていきましょう。

2.就職・転職・スキルアップで英語資格を使い分けよう!

1) 英語資格を「ビジネス⇔教養」と「一般的⇔専門的」の2軸で概観

まずは、こちらの図をご覧ください。英語資格を「内容がビジネス寄りなのか教養寄りなのか」「内容が専門的なのか一般的なのか」という2軸を使って4象限に分けています。この4象限は決して絶対的なものではありませんが、おおよそそれぞれの資格試験をイメージングする際の参考にしてください。

【英語資格のポジショニング】

右上のA(ピンク)は、転職や就活で英語力をアピールしたい人向けのエリアです。ビジネスで求められる英語は、一般的な英語力にその業界特有の専門用語がそれぞれに加わるイメージです。したがって、ビジネス英語を学ぶ段階では、金融英語だとか法律英語といった専門性の高い英語ではなく、中学・高校の延長線上にある一般的な英語力を磨いていけばよいということになります。TOEIC, GTEC, CASECなどがこのエリアにおよそ該当します。

右下のB(黄色)は、A同様、ビジネスで求められる英語ではあるのですが、Aで扱う英語が一般的であるのに対して、Bで扱うのは専門性の高い英語です。技術英語は様々な科学や工学系で求められるライティングが取り上げられますし、通訳案内士であれば、英語以外にも日本の歴史や文化についての知識がかなり求められます。日商ビジネス英検も、やはり貿易に関する英語が扱われています。

左上のC(ブルー)は、ビジネスで使うこと以上に、教養としての英語力が期待されています。また扱う範囲もBと比べると、かなり広いため、専門的というよりは一般的な内容が扱われる傾向にあります。英検やケンブリッジ英検などがこの領域に近いイメージだと思われます。ただ、扱う内容が一般的、教養的なものであっても、そこで身に着ける英語は普遍性の高いものなので、これらの資格試験で身に着けた英語力は、ある程度ビジネスでも活かせることでしょう。

左下のD(白)は、専門性が高く、かつ、教養寄りで、俗っぽい言葉で言うなら、「マニアック」な英語の世界と言えなくもありません。この中の「英単語検定」は著者も挑戦したことがあるのですが、上級になるほど、「この単語、実際の英文であまりみかけたことがない」というレアなものも登場します。そんなとき、マニア傾向がある学習者であれば、レアな単語を覚えること自体に快感を覚えるかもしれません。私自身、実用重視のビジネスマンだと思っていたのですが、潜在意識深く眠っていた「マニア魂」がこの試験でかなり揺り起こされた思い出があります。

以上4象限を総括しますと、転職・就活に優位な英語力をなるべく短期間で身に着けたい場合にはA(ピンク)を中心に学習を進め、あとは各自の趣向に合わせて、B、C、Dの世界を楽しんでいけばよいのではないでしょうか? ただ、Aの英語の中にも、B,C,Dの要素は混在していますから、どのエリアの資格であっても、最終的には英語力の上達につながっていると言えます。

2)「留学目的」と「個人受験不可」を英語資格10選から除外した理由

留学に必要なTOEFLやIELTSは、必要要件であり、やるかやらないか迷う余地がありませんので、今回の10選から外しました。つまり働きながら、キャリアアップやスキルアップしたい方々向けの英語資格に絞り込みました。また、「個人受験不可」の英語資格は、企業として社員に課すかどうかを考えるべき性質のものなので、それらも外しました。

【英語資格10選の選定基準】

私ごとで恐縮ですが、普段学生たちにTOEFL指導をしている者として、TOEFLは教養力アップにうってつけの試験だと感じています。ただ受験料などを考えると、やはり留学などの実質的な目的なくしての受験はあまり考えらえません。ただ、今回ご紹介している10選の教養系で代用は十分可能だと思います。特に英検1級のリーディング問題は、教養目線で取り組めば、新たな面白さを発見できるかもしれません。

実は企業向け(個人受験不可)の試験も、一社員が強く推せば、企業として採用してくれる可能性もゼロではありません。特にスピーキング力の向上が全社的課題であるのであれば、自社内で提案してみるのも一計です。その説得の手順として、いきなり全社的採用ではなく、ご自身を含め有志を募り、まずはトライアルとして打診してみてはいかがでしょうか?実際、私自身も、プロダクトマネジャーとしてスピーキング力の鍛錬が課題だったため、自社内に申請して英会話レッスンを受けたことがありました。今であれば、もう少しマクロな視点で、社内のグローバル要員対象に、こうしたスピーキングテストのトライアル的な採用を申請していたかもしれません。

今回の選外資格は適宜以下にアクセスしてみてください。

TOEFLはこちら。IELTSはこちら。GCASはこちら。P360 はこちら

3. 時間のかかる資格修得にコスパ発想は欠かせない!

1)英語資格10選対応教材一覧

趣味としてたっぷり時間をかけながら勉強を進めていくことも悪くはないのですが、「資格」である以上、やはりその資格試験の問題傾向を把握しながら学習を進めていく方が合理的です。

ということで、興味がある資格があるならば、まずはその模試や教本を一冊用意することをお勧めします。以下に資格10選に関連する書籍をまとめてみました。

【資格10選の関連書籍一覧】

さすがに現役世代は、英語の勉強だけに現を抜かすわけにはいかないので、ここから賢く絞り込む必要がありますが、リタイヤ世代であれば、老後の趣味として、英語資格マニアを目指してみるのも面白そうです。

これから10選の英語資格についていろいろと見ていきますが、その中でぜひ受験してみたいものが見つかったら、まずは模試や問題集を入手することをお勧めします。上記の教材は全てAmazonから入手可能です。以下にリンクを貼っておきます。

【英語資格10選教材リンク】

TOEIC教材はこちら GTEC教材はこちら CASEC教材はこちら 技術英検教材はこちら 日商ビジネス英検教材はこちら

全国通訳案内士試験教材はこちら 英検教材はこちら ケンブリッジ英検はこちら 国連英検はこちら 英単語検定はこちら

 

模試や過去問を利用する際に、その効用と課題について知っておきましょう。模試効用の一つ目は、他でもなく試験本番への慣れです。試験当日、問題形式に慣れておかないと、思わぬミスをしてしまったり、問題の意図をつかむのに若干の時間を奪われてしまい、本来の実力が発揮しきれないおそれがあります。二つ目の効能は、学習範囲が限定され、テストに直結しない学習を回避できることです。通訳案内士試験や国連英検などの一定の専門知識が問われるものを除けば、英語試験というものは概して一受験者の英語力に成績が反映されるように設計されています。とはいえ、やはりそれぞれのテストには傾向がありますから、それに沿って勉強するほうが合理的です。特に英検のように受験級を選べるものはそのレベルを想定した学習をお勧めします。例えば英検3級を目指しているとしましょう。Financial TimesやThe Economistのような上級向けの教材で勉強しますと、英検3級をはるかに超えた語彙で苦戦する一方、肝心の英検3級の語彙への手当がおろそかになってしまう可能性があります。三つ目の効用は、漠然とした「英語上達願望」を具体的な目標に落とし込めるため、学習も焦点が定まりやすいことです。四つ目の効用としては、自分に適した級やレベルを設定することで、着実に成長していけることです。背伸びすることも悪くはないのですが、これも度を超すと、消化不良に終わり、欲しい成長も思ったほど手に入らないこともありうるわけですね。

このように資格試験に過去問や模試は不可欠な学習ツールではあるのですが、頼り過ぎることの弊害もあります。初中級学習者の場合、問題解答以前の基礎語彙や基礎文法が抜け落ちている可能性があり、この状態で模試だけ演習しても本質的な理解には及ばず、英語力として定着しない場合があります。一方、上級学習者の場合、大概のテストは過去問・模試だけでカバーできることはなく、それらを超えた、もっと広い学習が必要とされる場合があります。TOEICの例で言いますと、700点台ぐらいまではTOEI模試につきっきりでもいいのですが、900超えを目指すにあたっては、模試だけの学習には限界があり、もっと広く英文を読んだり視聴する必要があるということです。

 

【模試・過去問の利点と課題】

2)各試験の受験料を比較し、資格取得の費用効果も視野に入れる

受験料について調べると、受験というものがとてもリアルかつシビアに感じられるようになります。以下の表では1万円以上を赤文字で、4000円以下を青文字で示しました。1万円以上支払うからには、しっかり受験料分の収穫(スコアアップや合格)を勝ち取ろうと言う気持ちにもなりますし、逆に4000円以下の試験であれば、「なにはともあれ一度受験してみよう」という気持ちになるかもしれません。また、高額なものについては、「その投資に見合うような評価は社会や企業から得られるか?」「たとえ不本意な結果となっても、それまで費やした努力をひとつの収穫として納得できるか?」という問いを自分に向けてみましょう。

なお受験料はこれからも経済状況に合わせて変更される可能性がありますので、実際に受験する際には、必ず公式ホームページで調べておくようにしましょう。以下の金額は2022年4月現在のものです。

【英語資格10選受験料一覧】

3)受験者数情報を参考に、転職・就活における労働市場での認知度も抑えておく

資格である以上、それを持っているに対する企業、業界、社会的評価は欲しいところです。その目安となるのが受験者の数でしょう。労働市場を日本に限るのであれば、受験者数がダントツのTOEICや英検は手堅い英語資格だと言えます。世界を視野に入れるのであれば、世界での年間受験者数が約700万人とされるTOEICや、約550万人とされるケンブリッジ英検あたりも手堅い感じがしますね。ちなみにTOEICと言えば、リスニングとリーディングのテストのイメージが強いですが、2020年の169万人のうち、リスニング&リーディングテストが約153万人、スピーキング&ライティングテストが約2万8千人、残りがその他という内訳になっているようです。この内訳からすると、TOEICはまだリスニングとリーディングというテストという一般的なイメージ通りですね。その点、英検は級による違いはあるのもの大方発信系がカバーされているので、4技能バランスという点では、国内で368万人の受験者数を誇る英検は、労働市場で十分に評価されうるテストだと言えるのではないでしょうか。

【英語資格10選運営団体と受験者数一覧】

4. 一般ビジネスならTOEIC・GTEC・CASEC

ここからは、各試験について個別に見ていきましょう。その際は、以下の概要一覧も参考にしてください。

【英語資格10選:概要】

まずは、一般的な内容で、かつビジネス目的とする場合にお勧めな資格として、TOEIC,GTEC,CASECについて見ていきます。

1) TOEIC

英語に関して特に専門性が求められない場合には、TOEICで受信力の下地を作っておくことをお勧めします。というのも採用企業が多いため、企業内、業界内に相応のデータが蓄積されていることや、認知度が高いことなどから、採用側が候補者の英語力を探る時に一番使われる指標だからです。スピーキングなどの発信は、実際日本で働いている限りそれほど多くないのが現状ですので、TOEICで一定の受信力を磨いておき、発信系は実務で必要になったら適宜後付けで磨いていくというのが最も現実的かつ多数派の戦略です。また実際に英語を使うようになる、海外出張やオンラインの会議では、長時間英語を聞き続けなければならないことや、膨大な英語の文書と格闘しなければならないため、リスニングとリーディングの持久力の必要性を多くの方々が痛感するようになります。この「大量高速」の英語シャワーの洗礼を受けるのにTOEICはうってつけだと言えます。

TOEICで注意すべき点は二つあります。一つ目は基本語彙や基本文法が固まっていない初級学習者がTOEICの問題演習から学習を始めてしまうと、問題演習が消化不良に終わる可能性があること。この場合、模試教材はTOEICの問題形式を知る、慣れるぐらいに留め、当面は模試問題の演習ではなく、基本語彙や基本文法の復習に時間を注ぐべきでしょう。もう一つの留意点は、上級者はある程度のスコアを取得したら、実践にシフトし、TOEICを卒業していくことです。上級者にとって英語は仕事の必須ツールという側面の他に自己達成感を満たすツールという側面があります。趣味としてのTOEICならそのまま楽しんでいけばよいのですが、転職・キャリアアップ目的であるなら、上級者はどこかで試験勉強ステージはおらわせなければなりません。実際、企業は895点(リスニング+リーディング)の社員に、「猛勉強して900点を超えろ」というような期待はしません。むしろ895点もあるのなら、仕事に熱量を向け、仕事を通して実践的な英語力を練磨していくことを期待するはずです。

【試験内容】(スピーキングとライティングは別途受験が必要です)

・リスニング:写真描写問題、応答問題、会話問題、説明文問題

・リーディング:短文穴埋め問題、長文穴埋め問題、読解問題、

・スピーキング:音読問題、写真描写問題、応答問題。提示された情報に基づく応答問題、意見を述べる問題

・ライティング:写真描写問題、Eメール作成問題、意見を記述する問題
 
※ 公式ホームページ:TOEICはこちら

【関連記事】企業で求められるビジネス英語のレベル

【関連記事】社会人のTOEIC勉強法:上級編

【関連記事】社会人のTOEIC勉強法:初中級編

2) GTEC

GTECはGlobal Test of English Communicationの略称です。受験者情報からするとマーケットとしては学校教育をターゲットとしている印象が強いです。しかしながら、自宅からオンラインで手軽に受験できる手軽さは、多忙なビジネスパーソンのニーズに合致していますし、TOEICのように初級から上級まで同じテストを受験するのではなく、自分のレベルに合ったテストを選べる点も着実な学習を促しますので、今後の伸びしろは大きいと思います。

ただ、肝心の採用側はGTECがどのようなテストなのか把握していない可能性もありますので、自分の受験結果について、自分なりにしっかり説明できるようにしておきましょう。採用側が知りたいのは、あくまでも英語の運用力、あるいは将来英語を使う際にどれだけ任せられそうかという潜在能力であり、テストのスコアではありません。したがって「このスコアは上級レベルだから、この結果さえ見せれば十分」と横着せず、自分の現行の英語力を客観的に自己評価し、相手にも説明できるよう結果分析をしておきましょう。

リスニングとリーディングの問題形式はTOEICに似ているため、すでにTOEICの問題集を持っている方であれば、GTECのリスニングとリーディング対策はそれでカバーできます。

【試験内容(GTEC Business)】

・リスニング:写真イラスト説明問題、会話応答問題、要点理解問題

・リーディング:語彙語法問題、速読・要点理解問題、長文理解問題

・ライティング:短文・メモ書き問題、中文・メール作成問題、レポート作成問題

・スピーキング:発音・リズムイントネーション、会話シミュレーション問題、ストーリーテリング問題、ショートプレゼンテーション問題

TOEICに対するGTECの強みは、TOEICがLRとSWのテストが分かれているのに対して、GTECは1回の試験で4技能を試せること、しかもTOEIC LRのテスト時間が2時間であるのに対して、GTECはLRSWで約90分でできることです。さらにオンラインで自宅受験ができることも強みです。自宅受験の所要時間はさらに短縮されて、LRSWが約50分でできます。

※公式ホームページ:GTECはこち

3) CASEC

CASECは、Computerized Assessment System for English Communicationの略称です。受験者全員に同じ問題が出されるのではなく、個人の能力に合わせて問題が変わるテストです。GTEC同様、自宅で気軽に受験できるのが魅力です。また価格も4000円を切っており、ある程度受験を重ねながら実力アップを狙う方にお勧めです。ただここで注意が必要です。実は私自身、一時期、間隔をあけずに数回ほど受験したことがあるのですが、スコアはあまり変わりませんでした。これはどのテストも同じで、テストの問題形式に慣れることでスコアが改善されるのは最初の1,2回のことで、一定期間勉強をして、英語力そのものを向上させた上で受験しない限り、スコアは変わりません。

CASECのスコアレポートにはTOEIC L&Rスコア、英検とのおおよその対応表がついています。したがってTOEICや英検を受けなくても、仮に受験した場合のスコアや級の推定情報として使えます。ただし、あくまでも推定情報であることから、仮に上級レベルの結果であっても、そこは割り引いて考える必要があります。TOEICはリスニングとリーディングだけでも2時間の長丁場ですし、英検は4技能対応です。それに対して1回40~50分程度で終了するCASECの手軽さを同等に論じることには無理があります。100メートル走のパフォーマンスがよいからといって、マラソンの成績もよいとは限らないのに似ていますね。

試験内容は以下の通りです。最後にディクテーション(書き取り)がありますので、スムーズにタイピングができる状態で受験するのが望ましいです。

【試験内容】

・語彙(空所補充、4肢択一)、表現(空所補充、4肢択一)、リスニング(空所補充、4肢択一)、リスニング(書き取り)

※公式ホームページ:CASECはこちら

5. 専門性志向なら技術英検・日商ビジネス英検・全国通訳案内士

次に、専門性を帯びた資格群です。

1)  技術英検

数少ない理系向けの英語テストの代表と言えるテストです。内容としては、英文資料の要約、議事録、メールでの短文ライティング、マニュアル・仕様書・論文などの表現様式の正しい使い分けなどが問われます。科学・技術分野の研究者やエンジニア、同分野の翻訳者などにお勧めです。このブログの著者は長い間、企業のエンジニアや大学の理系人材の指導を行ってきました。その内容の8割以上がTOEICやTOEFLです。この仕事を始めた頃、理系人材の中に占める英語嫌いのウエートは、文系人材のそれよりもかなり高い印象がありましたが、最近では「理系こそ英語は武器」が浸透してきたようで、通常の科学系の探求と同じ熱量で英語と向き合う方々が増えてきました。日々本業、本学に忙しい理系人材に過度な英語負荷をかけることは回避したいものの、的確な発信力養成という点で、今後は技術英検も視野に入れてもよいように思います。

以下の試験内容から、ビジネスに必要な論理的思考や、簡潔な表現技術などが鍛えられることがわかります。例えば試験内容のひとつである「冗長和文の英文要約」は、企業の現場ではかなり重宝がられるスキルです。翻訳も業務内容によりその翻訳手法は異なりますが、冗長になりがちな日本語をそのまま英訳するのではなく、要点をまとめたり、簡潔に言い換えた英文に置き換えられるようになると、編集的翻訳作業を通して「思考の洗練化」スキルを磨くことにもつながります。また、ネイティブが書いた英語だからといってなんでもお手本にするのではなく、ときに冗長になりがちなネイティブの英文を日本人が簡潔なものにリライトするという発想も、この試験から学ぶことができます。

【主な試験内容】

・プロフェッショナル、準プロフェッショナル:英語長文の英文要約、和文英訳、冗長和文の英文要約、テクニカルライティングの考え方、冗長英文のリライト

・1級:英単語英文解説、英文空所補充、短文リライト、英文和訳、和文英訳

・2級:語彙問題、語彙解釈、英文空所補充、英文和訳、英作文

・3級:英文和訳、語彙問題、英作文、英文空所補充

※公式ホームページ:技術英検はこちら

2) 日商ビジネス英検

日商ビジネス英語検定は、LRSWの中でもライティングに特化しているのが特徴で、企画書、報告書、履歴書、電子メールなどの英語文書の作成、海外取引に関する実務能力が試されます。1級では、市況レポートに基づく状況分析、契約書の作成、プレゼンテーションやネゴシエーションの方法なども出題され、日商ビジネス英検ならではの個性が反映されています。どんな英語資格試験であれ、上級に行くほど、その資格の特徴が際立つ傾向があります。つまり、一番上の級に、その試験団体が受験者に到達してもらいたい理想が色濃く表れているということですね。実際に受験するかどうかは別として、各資格の一番上の級の問題を見ることで、英語学習の最終到達地点をイメージすることができます。これにより、「将来の理想に向かって、今は現状レベルに合った試験勉強に集中しよう」という学習方略を再確認することもできます。

【試験内容】

・1級(90分):記述式が中心で、英文書作成、英文解釈、分析記述など

・2級(40分):択一式、記述式

・3級(30分):択一式、記述式

※公式ホームページ:日商ビジネス英検はこちら

3) 全国通訳案内士

JNTO(日本政府観光局)によって年1回実施される、全国通訳案内士として必要な知識と能力を判定するテストです。対象となる言語は、英語以外にも、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、韓国語、タイ語があります。

【試験内容】

・外国語筆記試験(マークシート方式):読解問題、和訳問題、英訳問題、英語による説明など

・日本地理筆記試験(マークシート方式):左テーマの中で外国人観光旅行客の関心の強いものについての知識を問う

・日本歴史筆記問題(マークシート方式):左テーマの中で外国人旅行客の関心の強いものについての知識を問う

・産業・経済・政治および文化に関する一般常識筆記試験(マークシート方式):左テーマの中で外国人旅行客の関心の強いものについての知識を問う

・通訳案内の実務筆記試験(マークシート方式):通訳案内の現場で求められる基礎的知識を問う

※ 公式ホームページ: 全国通訳案内士はこちら

通訳は上記のような観光系とビジネス系に大きく分けられます。ビジネス系通訳の民間資格として「ビジネス通訳検定=TOBIS(Test of Business Interpreting Skills)があります。この試験のユニークなところは、逐次通訳試験では皆同じ試験を受けて、その試験の成績に応じて、2~4級、不合格、と判定されることです。もう一つの同時通訳試験は、過去2年以内のTOBIS2級取得者のみ受けられます。

ただし通訳の現場で問われるのは、こうした資格の有無よりも、クライアントの多様なニーズに応えられる十分な外国語運用力や通訳の実務能力の方のようです。私自身、外資系企業に勤めていた頃は、通訳の方々とご一緒させていただく機会が多々ありました。皆さん英語運用力ありきという前提なので、通訳さんとの会話ではTOEICすらも話題に上がることはありませんでした。英語の資格や級やスコアが全く話題に上がらないこと自体に、プロの世界を感じたものでした。

こうした背景から、ビジネス通訳検定は資格10選には入れてありません。詳しくは以下をご覧ください。

※ 公式ホームページ:ビジネス通訳検定はこちら

6.教養志向なら英検・ケンブリッジ英検

ビジネスに限らず、広く英語を身に着けたい方、教養として挑戦したい方向けのテストを見ていきます。ビジネスの世界に入る前の中高生から大学生あたりにもお勧めな資格群です。

1) 英検

TOEICと並んで英語テストの双璧として知られる英検。その違いは以下に添付した「関連記事」をぜひ参考にしてください。ここで取り上げたいTOEICと英検の大きな違いは「英検は問題を持ち帰れること」です。試験中どうしてもわからなかった問題を、試験後すぐに自分で調べることができます。知識は「知りたい」ときに入れるのが一番身に付きます。つまり英検受験後すぐに自分で辞書を引いて諸々不明箇所を調べる」ことこそが最も知識が定着する学習法だと言えます。

英検のもう一つの大きな特徴は、リーディング題材がリアル(史実、科学的な事実などで、架空の話ではない)であること。これはTOEFLも同じです。つまりTOEFLも英検も、長文と格闘すればするほど、教養豊かになっていくということです。海外での仕事や、外国人との会食などで痛感するのは、ビジネス以外での多岐にわたる会話対応力です。これは英語だけの勉強で拡充していくことは難しく、多岐にわたる分野について学んでいく姿勢が不可欠です。英検の長文はまさに多岐にわたる題材が取り上げられています。模試で一通り解答を終えたあとは、ぜひそこで取り上げられているテーマについて自分でもネット検索などを通じて掘り下げていきましょう。

【試験内容】

●1級:

・一次試験:リーディング(短文空欄補充、長文空欄補充、長文の内容一致選択)、ライティング(指定されたトピックについての英作文)、リスニング(会話内容一致選択、文の内容一致選択、Real-Life形式の放送内容に関する質問への回答、インタビューの内容に関する質問への回答)

・二次試験;スピーキング(自由会話、与えられた5つのトピックから一つ選んでのスピーチ、スピーチのトピックに関連した質問への回答)

●準1級:

・一次試験:リーディング(短文空欄補充、長文空欄補充、長文の内容一致選択)、ライティング(指定トピックについての英作文)、リスニング(会話内容一致選択、パッセージの内容に関する質問への回答、Real-Life 形式の放送内容に関する質問への回答)

・二次試験:スピーキング(自由会話、イラスト説明、イラストに関する質問への回答、カードのトピックに関連した質問への回答)

●2級:

・一次試験;リーディング(短文空欄補充、長文空欄補充、長文の内容一致選択)、ライティング(指定トピックについての英作文)、リスニング(会話内容一致選択、文の内容一致選択)

・二次試験:スピーキング(音読、パッセージについての質問への回答、イラスト説明、ある自称・意見についての自分の意見表明、身近なことに関する質問に答える)

●準2級:

・一次試験:リーディング(短文空欄補充、会話文空欄補充、長文空欄補充、長文の内容一致選択)、ライティング(質問に対する回答を英文で書く)、リスニング(会話応答文選択、会話の内容一致選択、文の内容一致選択)

・二次試験:スピーキング(音読、パッセージについての質問への回答、イラスト説明、カードのトピックについての質問への回答、身近な事への質問への回答)

●3級:

・一次試験:リーディング(短文空欄補充、会話文空欄補充、長文の内容一致選択)、ライティング(質問に対する回答を英文で掻く)

・二次試験:スピーキング(音読、パッセージについての質問への回答、イラスト描写、身近なことに関する質問に答える)

●4級:

・一次試験:リーディング(短文空欄補充、会話文空欄補充、語句整序、長文の内容一致選択)、リスニング(会話応答文選択、会話内容一致選択、文の内容一致選択)

・スピーキングテスト:音読、パッセージについての質問への回答、イラストについての質問への回答、身近なことに関する質問への回答

●5級:

・一次試験:リーディング(短文空欄補充、会話文空欄補充、語句整序)、リスニング(会話応答文選択、会話内容一致選択、イラスト内容一致選択)

・スピーキングテスト:音読、パッセージについての質問への回答、身近なことに関する質問への回答

【関連記事】TOEICと英検の違い~テスト対策以前の必須知識

※公式ホームページ:英検はこちら

2) ケンブリッジ英検

ケンブリッジ英語検定はCEFRレベルに完全準拠した試験で、6種類の試験から選ぶことができます。CEFRは、Common European Framework of Reference for Languages)の略称で、日本語では「ヨーロッパ言語共通参照枠)という意味です、CEFRは1989年から1996年にかけて欧州評議会が「ヨーロッパ市民のための言語学習」プロジェクトを推進した際に中心的な役割を担いました。主だった英語資格はCEFRと対照できるようになっていますが、その中でも最も細やかに対応させてあるのがケンブリッジ英検です。

以下におおよそのレベルと試験内容を見ていきます。

・C2 Proficiency(CPE):Reading/Grammar/Vocabulary(空欄補充問題、文章書き換え問題など)Writing(エッセイライティングなど)Listening (短文問題、会話問題、モノローグ問題など)Speaking(自己紹介、意見表明、議論など)

・C1 Advanced(CAE):Reading &Use of English(高度な読解力を試す問題など)Writing(手紙、記事、レポート問題など)Listening(穴埋め問題、選択問題など)Speaking(通訳、交渉など)

・B2 First(FCE):Reading & Use of English(空欄補充、読解問題など)Writing(エッセイライティングなど)Lisniteng(会話文問題、モノローグ問題など)Speaking(自己紹介、写真についての質問への回答、意見調整など)

・B1 Preliminary( PET):Reading(短文問題、空所補充問題など) Writing(Eメール、指定トピックについてのライティングなど)、Listening(短文問題、長文問題など)Speaking(写真説明、議論など)

・A2 Key(KET):Reading and Writing(短文問題、長文問題、空所補充など)Listening(短文問題、長文問題など)Speaking(社交的会話、意見表明など)

・Young Learners(YLE):Listening (短文問題など)Reading and Writing(イラスト問題など)Speaking(身近なことに関する質問への回答など)

※公式ホームページ:ケンブリッジ英検はこちら 

7. マニアックに楽しむなら国連英検・英単語検定

最後に、純粋な興味ベースで挑戦する資格群です。英語マニアの道を究めたい方にもお勧めです。  

1) 国連英検

国連英検の正式名称は「国際連合公用語英語検定試験」です。国連の理念である「国際理解」や「国際協力」が反映され、取り上げられる話題も「世界平和」「世界政治」「世界経済」その他、時事問題など多岐にわたります。レベルのイメージとして、特A級は、英語で国際的な問題について討論できるレベル、A級は通訳なしで契約交渉ができるレベル、などかなり高いスキルが求められます。そのため特A級、A級ともに、面接試験ではネイティブの試験官と国際時事問題について討論することになっています。特別な試験対策以上に、平素から時事問題に関心を持ち、しかもしれらについてある程度英語で自分の考えを話せるようになっておく必要があります。

ところで日本人は一般的に、自分で自分の能力を説明したり開示することが苦手です。その点において、英検やTOEICは履歴書にスコアや級を記入すれば、採用側がそのレベルを推測してくれるので助かります。しかし、国連英検の場合、名前は知っているものの、各級がどれくらいの英語力を示しているのかまでは認知されていない可能性もあります。その点を十分自覚して、転職や就活時には自分から積極的に説明していきましょう。

最近、国際的な機関の役割について再考せざるをえないようなことが色々と世界各地で起こっています。国連英検を実際に受験するかどうかは別として、国連について学び直す再、国連英検はよい教材になると思います。国連や国際問題について学びつつ英語も同時に学べるのですから、グローバルに活躍したい人には魅力的な資格だと言えましょう。

【試験内容】

・特A級(120分):リーディング、作文、一次試験合格者は面接試験

・A級(120分):リーディング、作文、一次試験合格者は面接試験

・B級(120分):リスニング、リーディング、作文

・C級(100分):リスニング、リーディング

・D級(100分):リスニング、リーディング

・E級(80分):リスニング、リーディング

各レベルに対して細やかな配慮がうかがわれます。所要時間も初級から上級に向かうほど長くなります。作文はB級以降からの実施、面接はA級以降からの実施です。特記すべきなのは、上級であるA級、特A級にリスニング問題がないことです。議論や討論に対応できる発信力の方にウエートが置かれているのがわかります。

2 ) 英単語検定

「テスト対策、速読、リスニング、発信、何であれ英語スキルの決め手は結局は語彙力」

こう感じている英語学習者はきっと多いと思います。そんな要望に応えているのが英単語検定です。ざっくりとしたレベルイメージですが、準2級は高校2年生(2,500~3,500語)、2級は高校3年生(4,000~5,000語)、準1級は大学2~3年(7, 500~9, 000語)あたりです。ちなみに英単語検定のホームページから1級の問題を見つけました。

~問題例~

「けばけばしい」の意味に適した英単語はどれか? 

A, depraved

B. filial    

C. condescend  

D. garish

(出典:英単語検定ホームページ「級別問題例」)

~~~

depraved= 腐敗した、 filial=子の(fili息子 al形容詞)、 condescend=腰を低くする(con完全に+descend下りる)、garish=けばけばしい、でDが正解です。

単語マニアを目指すなら1級、実用レベルであれば準1級あたりまでコツコツレベルアップしていけば十分なようです。日頃より、語彙力不足に悩んでいる方は、思い切ってLRSW4技能を一旦脇において、英単語検定で単語だけをひたすら学んでみるのも一計ですね。

【試験内容】

5級は英単語の英訳4肢択一と和訳4肢択一のみで、4級以上は、これらに英英I(英語の説明に対して適切な英単語の4肢択一)、英英II(英単語の適切な説明文の4肢択一)があります。英英Iも英英IIも、日本語を介在させず、英語を英語で理解する思考回路を育てるのに役立ちます。

※公式ホームページ:国連英検はこちら 英単語検定はこちら

8.英語資格は英語学習を具体化させる良薬

以上、10点の英語資格を概観してきました。それぞれの試験対策は違うものの、最終的には英語力に集約されます。ですから、どんな資格に挑戦しようとも、そしてその結果がどのようなものであれ、そのために費やした英語学習の日々は「英語力の向上」という点で必ず報われます。そしてこれらの英語資格のほとんどが、弁護士や税理士資格のような、採用側から絶対条件として提示されるものではなく、採用の参考情報として使われることがほとんどです。したがってTOEIC895点保持者は常にTOEIC900点保持者より不利だとか、英検1級取得を果たすまで転職を我慢する、という考えは持たなくてよいでしょう。先方の要求レベルに到達していないと判断される場合でも、「今はTOEIC700点ですが、実践を積みながら860点クリアを目指して学習を続けていきます」というような意思表示と熱意を示すことで、英語資格的には完璧と言えない状態でありながらも、英語以外のスキルや強みが買われることも十分考えられます。

資格のメリットは就活や転職だけに限りません。英語資格を取り込むことで、英語に対する漠然としたあこがれが、良い意味でシビアな具体的目標に変わることが期待できます。実際に英語を使う機会がない多くのビジネスパーソンがTOEICを受験するのも、こうした「英語学習の具体化」の効用と関係しているかもしれません。漠然と「ビジネス英語を磨く」とか「プレゼン英語力を磨く」と言っても、本当にそれを使う機会がないと、なかなか学習のモチベーションは保てないものです。そんな状態を脱却するための一つの手段として、英語資格は検討に十分値すると思います。

「万年初中級」「万年学習頓挫」「永遠かつ漠然としたあこがれ」を脱却する糸口として、ぜひ自分の関心に合った英語資格を探してみましょう。

 

 

 

ご相談について ラーナーズジムでは、生徒さんの目的に合わせて英語指導を行っております。 当方の向学のためにも、英語へのモヤモヤした思いをぜひ一度お聞かせください。 ※無理な勧誘は致しませんのでご安心ください。

お問い合わせ